商船三井は9月28日、同社グループの商船三井フェリーとフェリーさんふらわあが2023年10月1日に経営統合し、新たに「商船三井さんふらわあ」として始動することを発表した。これにより6航路／15隻を誇る国内最大のフェリー・内航RORO船運行会社となる。なお、新会社は商船三井のグループ会社となり、同グループ執行役員（現：商船三井顧問）の牛奥博俊（うしおく ひろとし）氏が社長に就任する。
＜記者会見にて、右から商船三井常務執行役員 向井恒道 ｳｪﾙﾋﾞｰｲﾝｸﾞﾗｲﾌ営業本部長、同グループ執行役員、商船三井さんふらわあ 牛奥博俊 社長、商船三井さんふらわあ取締役 尾本直俊 会長、同 赤坂光次郎 副会長（いずれも10月1日就任）＞
同日、都内で記者会見を開き、牛奥社長をはじめ4名が登壇。新会社の事業内容や経営方針、DX推進や脱炭素化に向けた取り組みについて説明した。牛奥社長は「統合しスケールメリットを強化することで、物流・旅客両面で安定したサービスを展開する。外部環境の変や顧客ニーズに適切に対応すべく経営資源を結集し、規模（含むシェア）・健全性・役職員の幸福度において、世界からも注目される高品質な物流サービスや思い出に残る船旅を提供したい」と、経営方針を語った。
統合により、「商船三井さんふらわあ」の輸送量は物流・旅客ともに業界の約30％を占める（日本⾧距離フェリー協会（加盟9社）公表輸送統計）こととなる。物流では、業界屈指のシャーシを保有（約1400台）し一貫輸送サービスや、LNG燃料フェリー（4隻）による脱炭素社会に向けた取組みに注力していく。
このうち、2023年に大阪～別府航路に投入した国内初のLNG燃料フェリー「さんふらわあ くれない」「さんふらわあ むらさき」はCO2を約25％削減し「顧客から大変好評を得ている」という。2025年には苫小牧～大洗航路で新たにLNG燃料（深夜便2隻）を追加投入するなど、今後も積極的な投資を計画している。
会見では、今後の2024年問題対応ついても問われた。牛奥社長は「フェリー業界では数年前から新造船の投入について、以前より積載スペースを大きくするなどキャパシティ向上に取り組んできた。受け入れ体制は万全だ。現段階ではさほどモーダルシフトが進んだという実感はないが今後、新造船の投入やサービス改編により物流サービスの更なる拡充を図っていきたい」と意欲をみせた。
商船三井は2023年4月に「ウェルビーイングライフ営業本部」を新設し、フェリー・内航RORO船事業や不動産・クルーズ・その他事業を同営業本部内に置き、同社事業の柱の一つとしている。同社グループでフェリー事業の中核を担う両社を統合・集結させることで、今後さらなる会社の成長につなげたい考えだ。
■新会社概要
商号：商船三井さんふらわあ
所在地：東京都千代田区
事業所：札幌、苫小牧、大洗、大阪、神戸、福岡、苅田、大分、別府、熊本、宮崎、志布志、鹿児島
株主：商船三井100％
事業内容：一般旅客定期船事業、内航運送業、貨物利用運送業、旅行業、他
営業開始：2023年10月1日
運行隻数：15隻（6航路）
従業員数：518名（予定）
