日本GLPは3月6日、東京都の八重洲オフィスで、グループ会社のモノフル、プラスオートメーション(+A)と合同で、2024年問題対策への取り組みについて記者発表を行った。
冒頭、日本GLPの藤岡洋介 常務が「2017年物流クライシスを機に、床を提供するだけでなく物流課題を解決するための様々な付加価値を提供してきた。2021年からスタートしたGLPコンシェルジュもその1つ。グループ会社のモノフル、プラスオートメーションと併せて3つの企業・サービスで物流業界の課題解決に取り組んでいきたい」と挨拶した。
モノフルは2017年に設立。バース予約システムなど3つの物流ソリューション(SaaS)を展開している。+Aは物流ロボットプロバイダーとして2019年に設立。業界に先がけてサブスク型のサービス提供を行っている。藤岡常務は「買う・所有するから賃貸というトレンドが、一つの共通項になっている」とし、2024年問題をはじめ様々な社会課題に、ハード・ソフト両面から取り組んでいく。
続いて、同社営業開発部の小鷲博之 部長が、2024年問題への具体的な対応策について説明した。
物流施設開発では、大都市圏から片道4時間圏内に中継拠点となる施設開発を進める。注目するのは岡山・広島、名古屋、神奈川エリアなど。「既存の施設と併せてベルト帯で物流施設を提供するとともに、GLPコンシェルジュでは、庫内作業効率化などハード面だけでは解決できない課題に対応していく。最近は輸配送の問い合わせも増えており、コミュニティに入ることで事業成長につながるという声も多くいただいている。こうした活動を通じ物流業界の応援団になりたい」と力強く語った。
同社が展開する大規模多機能型物流施設「ALFALINK」については、流山と相模原がいずれも満床稼働中で、昭島(東京都)でも開発が決まっている。2024~2025年には関西エリアでも開発を進める計画で、既に茨木では77%、尼崎では63%が成約している。
同社施設で導入している「置き配バース」についても紹介。「宅配の置き配の物流施設版のようなもので、深夜~早朝の納品にも対応できる。働き方改革や荷下ろしの待機時間削減にも寄与する」と説明した。
2024年問題対策で急務となっているのが、荷待ち・荷役時間の削減だ。モノフルは、トラック受付/予約システムとして「トラック簿」のシェア獲得に注力している。小窪亘 セールス&マーケティングマネージャーによると、バース予約システムはここ数年で導入が加速しており、現在、「トラック簿」は全国500拠点以上で導入され、23万人以上のドライバーが利用している。業界2位ながら、自社サービスの特徴として「1か月単位、価格も3万円~から利用できるので導入しやすく、しかも23年度の年次解約率は1%」と胸を張る。データを蓄積し、データ分析を行うことで受付台数や待機時間・作業時間等を自動集計できるのも特徴だ。今後は「1つ1つのシステムを効果を最大化し、様々な外部システムと連携できる汎用的な『トラック簿』のAPIを公開したい」と展望を語った。
プラスオートメーション(+A)セールス&マーケティング本部の野中大介 本部長は、物流施設の自動化を加速する仕組みとして、自社が展開するRaaS(Robotics as a Service)を紹介。「多額の費用をかけて購入するのではなく、必要な時に必要なサービスを提供する。その後も活用支援を行うこと顧客からの声をもとに効率化を提案し続けることができる」と特徴を述べた。
現在、全国127か所に4400台以上のロボットを導入しており、このうちRaasを利用している企業は88か所。「仕分けのAGV『t‐Sort』を中心に、様々な業界でRaasという仕組みが浸透した」との見方を示した。
今後「仕分け」領域と隣接する「保管・ピッキング」領域に進出し、パレットハンドリング型AMRやロボティクス自動倉庫など、「搬送」領域についてもラインナップを拡充。さらに、こうした自動化ソリューションを汎用化されたパッケージとして提供し、「GLPにはカスタマーのコミュニティがあり、互いに情報共有しながら垣根をこえて、グループ全体で物流課題を乗り越えていきたい」と展望を語った。
「物流業界の問題は本当に様々。我々だけで解決できるものではないが、コンシェルジュという相談窓口があること、また3社で取り組むことでシナジーが生まれ、さまざまな顧客ニーズにワンストップでサービス提供できると考えている」と日本GLPの小鷲部長。今後、2024年問題、物流業界の課題解決へさらに取り組みを強化していく。
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