日本郵船は11月26日、シンガポール海事港湾庁(Maritime and Port Authority of Singapore, 以下「MPA」)長官のTeo Eng Dih氏、副長官のKenneth Lim氏らが来日し、11月25日にアンモニア燃料供給装置を同社と共同開発しているTBグローバルテクノロジーズ(TBG社)の長岡工場(新潟県)を訪問したと発表した。
また同日に、東京湾で実証航海中の同社グループが開発、建造、運航するアンモニア燃料タグボート「魁」を訪れ、アンモニア燃料エンジンなどを視察した。
同社とMPAは今年7月に、シンガポールでの海事産業の持続可能な発展を目指したMemorandum of Understandingを締結し、シンガポール湾内で運航するバンカリング船を含めた低炭素アンモニアの舶用燃料利用の促進や、アンモニア燃料船の船員向けのトレーニングプログラムの検討に前向きに取り組んでいくことで合意している。
MPA長官、副長官らはTBG社の長岡工場で、同社が開発を進めるアンモニアバンカリング船に搭載予定の「バンカリングブーム」を視察した。バンカリングブームは同社とTBG社が共同開発するもので、船舶間でアンモニアを安全に供給するために、アンモニアの漏洩リスクを最小限に留めるTBG社の技術を採用している。
アンモニア燃料タグボート「魁」の訪問では、アンモニア燃料エンジンとその関連設備を視察した。この船は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業の公募採択を受けて当社がIHI原動機と共同開発したもので、8月に竣工。現在、世界初のアンモニア燃料商用船として、東京湾での曳船業務に従事しながら3か月間の実証航海を実施している。アンモニアを舶用燃料として利用するための安全設計が多数組み込まれており、バンカリング船を含む船舶でのアンモニア燃料利用の普及、拡大に寄与することが期待されている。
同社はアンモニアバンカリング船を、シンガポールをはじめとする国内外の主要バンカリング港に投入し、事業運営していく方針だ。アンモニア燃料船やアンモニア燃料供給装置の研究開発を通じて得られる知見、技術を活用し、海事産業の持続可能な発展を目指した様々な取り組みで今後もMPAと協力していくとしている。
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