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日本郵便/「不服など申し上げる立場でない」点呼不備で行政処分へ

2025年06月17日/3PL・物流企業

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日本郵便は6月17日、点呼業務不備事案に関する行政処分および日本郵便の対応について記者会見を開き、千田哲也社長が説明を行った。

<記者会見で頭を下げる 日本郵便 千田 哲也 社長>
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会見では、日本郵便の点呼業務不備に対し、国土交通省より通達された行政処分と聴聞を経ることなくそれを受け入れる旨、その後のサービス維持について説明。これに続けて、原因分析、再発防止策についても詳細を示した。

今回の処分では、「1トン以上の車両の使用制限」が実施される。該当する車両は約2500台、全国の約330局の郵便局で使用されており、主に大口顧客からの集荷と、集配局から小規模集配局への運送に利用されているものだ。

<行政処分執行後のサービス提供の委託割合>
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これに対し、郵便・物流サービス維持のため、全国で57%に該当する分を他の運送会社に委託することも発表。また、それが難しい場合は、軽四輪を使用することで埋め合わせを行う。

委託に際しては、日本郵便から直接外部へ委託する割合が34%、日本郵便輸送への委託を経て外部へ再委託する割合が23%となる。委託先の具体的な企業として「佐川、セイノー、トナミなどに声をかけている」としており、「顧客に迷惑をかけないものを構築していく」ことが第一優先事項であると強調した。

また、目下係争中のヤマト運輸については、「ヤマトにも委託を受けていただくべく、話をしている。裁判提訴もしているが、これはこれ、それはそれ。どんな相手であれ、顧客へのサービスをしっかり用意する、という仕事をやってくれるところなら委託をしたい」と千田社長は述べた。

<会見中の千田社長>
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「責任の明確化」と称し、事案発覚当時(2025年2月~3月)の役員11名を対象に、報酬減額を実施。同時期の本社部室長、支社長に対する減給懲戒処分を行ったほか、支社の責任者および点呼不備のあった郵便局の管理者にも懲戒処分を行うとした。

今後の点呼適正化に向けた改善案にも言及し、「意識改革」「ガバナンスの強化」「点呼のデジタル化」「モニタリング態勢」の取り組みを推進する。「モニタリング態勢」については、5月1日以降、3188局全局に対する1巡目の検査を通じて、点呼不備がほぼゼロになったという。

一方で、さらなる点呼不備の根絶にはシステム強化も必須であるとして、6月から一部の郵便局で導入を開始したデジタル点呼システムを、上半期中に集配業務を行っている全ての郵便局へ導入する方針だ。

千田社長は本件について「改善を通して点呼不備は限りなくゼロに近くなってきた。わずかに出るものは意図的ではないと現場からは聞いているが、いずれにせよ点呼不備は許されることではない。デジタル点呼を用いた絶対的な仕掛けはもちろん、研修や意識改革を通して本当の意味で点呼不備ゼロを作っていかなければならない」と述べた。

今回の不祥事を通じ、中期経営計画について聞かれると、「顧客に迷惑をかけないことに全力を挙げている。現時点で計画の見直しなどは考えていない」と回答。

また、国土交通省による聴聞を行わずに処分を受ける姿勢を見せた件については、「処分を受け入れることを悩んでいた、というよりも、いかにして対応するか考えていた。処分を受け入れる、受け入れないという話ではなく、顧客に迷惑をかけず進めるように対応を考えることを優先したという話。不服などを申し上げる立場ではない」と、日本郵便のスタンスと今後の在り方を答えた。

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