矢野経済研究所は7月16日、物流15業種総市場について調査し、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。
市場規模の推移をみると、2023年度は前年比3.8%減の23兆4495億円と推計。2024年度は同5.1%増の24.6兆円となる見込み。
業種別にみると、海運や一般港湾運送、特別積合せ貨物運送、引越の4業種において前年度⽐マイナスとなる⾒込み。⼀⽅、前年度⽐でプラスとなる業種は、3PL、普通倉庫、冷蔵倉庫、航空貨物輸送、鉄道利⽤貨物運送、鉄道貨物輸送、軽貨物輸送の7業種とした。
なお、海運と⼀般港湾運送は、⽶国関税の引き上げの影響による輸出貨物量の低迷を加味しており、3PLや普通倉庫等は、⽶国関税の引き上げの影響は不確定な要素が多く加味していない。3PLについては、国内外にわたって荷主企業のサプライチェーン全体を⽀える複合的な物流サービスを提供しており、「着実に市場規模を拡⼤していく⾒通し」とした。
国際物流については、海運や航空貨物輸送等の業種で前年度に比べて荷動きの回復が見込まれる。また中国発欧州・米国向け貨物輸送需要の増加に伴い、日本も含めたアジア発欧州・米国向けの運賃市況が再び上昇する見込み。特に円安による為替の影響も相まって、「運賃の上昇による海運市場規模拡大が続く」とみている。
国内物流では、2023年度に引き続きドライバー人材確保のため「人件費の上昇が加速する」と予想。荷主企業の理解が進み、輸送運賃へ転嫁しやすい環境も、トラック運送事業等の陸運を中心に、物流市場規模を押し上げる要因となり得る。ただし、食料品等の価格値上げに対し、消費活動は足踏み状態が続き、円安に伴う輸入貨物量の減少も続くと想定している。
こうしたことから、「国際物流も国内物流も物量の増加要因は少なく、運賃や料金など価格上昇が主な要因となり、物流15業種総市場規模は再び増加基調に転じる見通し」とした。
国交省/現行物流施策大綱のKPI、ドライバーの所得・労働時間改善へ「更なる取組要」