矢野経済研究所は9月17日、ラストワンマイル物流市場に関する調査を実施(2025年)し、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。
2024年度のラストワンマイル物流市場規模は、配送料(配送関連サービスを含む)ベースで前年度比105.5%の3兆900億円と推計した。2024年度はラストワンマイル物流市場全体で荷物量が増加したことに加え、宅配便以外の「その他BtoC個配」事業者では、ラストワンマイル物流コスト(物流費)が上昇したことで好調に推移した。
物量の動向としては、通信販売事業者を中心に物量が増加傾向にあり、さらに配送する荷物自体の小口化が進んだことで個数も増加した。深刻な人手不足や燃料費の高騰を背景に業界全体として価格交渉が進み、ラストワンマイル物流コスト(物流費)については、契約運賃が緩やかな上昇傾向にある。
大手宅配便事業者では、2023年度に運賃改定を行った反動で取扱個数が減少したことを踏まえて、2024年度は法人向け契約単価を一度引き下げることで物量を確保する動きとなり、取扱個数は再び増加に転じる結果となった。
宅配便以外の「その他BtoC個配」事業者では、大手通信販売事業者を中心に宅配便から自社手配による配送網への切り替え・拡大が進んだことに加え、ラストワンマイル物流コスト(物流費)の上昇などが増加要因となっている。「その他BtoC個配」を展開する事業者は、通信販売事業者やネットスーパー・コンビニ配達等を手掛ける小売事業者、フードデリバリー事業者等である。
2025年度のラストワンマイル物流市場規模は、前年度比103.4%の3兆1950億円と予測。中国や韓国といった海外のEC サイトで商品を購入し、国境を越えて日本に輸入する輸入越境ECやふるさと納税の返礼品など、市場全体としては新たなニーズを取り込むことで荷物量の拡大が見込まれるほか、配送する荷物の小口化がさらに進み、取扱個数も増加する見通しだ。
「宅配便」では、2020年度のコロナ禍以降、年々BtoC荷物の比率が高まっている。2025年度以降もBtoBからBtoCへの移行は徐々に進み、単価の改善も見込まれ、今後も微増傾向で推移していくと予測。「その他BtoC個配」では、通信販売事業者を中心に荷主の「自社手配による配送」が加速し、今後も荷物量が増加していく見通しである。2030年度のラストワンマイル物流市場規模は、3兆9800億円まで拡大すると予測している。
プロロジス/2024から2025年のサステナビリティレポートを発行