グローバル・サプライチェーン構築支援を行うコンサルティング企業シグマクシスは1月19日、東京都内で「グローバルCLOサミット2026」を開催。フィジカルインターネットの第一人者者であるエリック・バロー氏ら有識者を招き、講演やパネルディスカッションを通じ、日本でのフィジカルインターネット実装への道筋や物流効率化へCLOの果たすべき役割について議論した。参加者は産官学から約70名が参加し、荷主企業やCLO、サプライヤーのほか、学生も視聴した。
フィジカルインターネットとは、米国ジョージア工科大学のブノア・モントルイユ教授、パリ国立高等鉱業学校のエリック・バロー教授が研究を進めてきた物流の新しいあり方、いわば「オープンで標準化された究極の共同配送プラットフォーム」。日本でも2040年を目標としたフィジカルインターネットロードマップが国土交通省と経済産業省により策定され、社会実装へ動き出している。
基調講演に立ったエリック・バロー氏は「フィジカルインターネットの未来とグローバル物流の新潮流」と題し、最新の知見や欧州での事例を共有した。
バロー氏は、EC需要により小口配送が激増する一方、欧州でも積載や荷待ちの時間が非常に多く、物流の非効率が生じていることを背景に、フィジカルインターネットの重要性を説明。実装には標準化されたコンテナ(ボックス)とデータが必要となり、欧州で運用されているハンドリングボックスや、スイスの自動物流道路の事例を紹介した。また物流の未来について「デリバリー状況をリアルタイムで確認できる世界」とし、物流を効率化することはサステナブルにもつながると提言した。
続いて、物流分野の標準化を牽引するドイツの非営利団体、Open Logistics Foundation(OLF)のCFO、トーステン・ヒュルスマン氏が「欧州のフィジカルインターネット 最新動向」と題し講演した。OLFは中立的な財団として、物流やサプライチェーンに関わる企業が無料で利用できるオープンソースソリューションの共同開発や、ワーキンググープで研究などを行っている。
ヒュルスマン氏は「ITソリューションはさまざまなものが混在しており、複雑なサプライチェーンを効率化するために、個々で取り組むだけでは業界の課題は解決しない」と現状を分析。そこで必要となるのが誰でもつながれるオープンソースであり、「競合相手でも共同化できる部分はコモデティ化し、差別化は別のところで図ればいい」と、共創領域と競争の線引きを強調した。実際、共同開発したコモディソフトウェアは数百社でダウンロードされており、「国や企業の枠を超えて情報共有することで、日本のフィジカルインターネットに新しい章が開かれる」と説いた。
パネルディスカッションでは、早稲田大学の大森峻一教授がモデレーターを務め、バロー氏、ヒュルスマン氏と、日本でのフィジカルインターネット実装を推進するJPICの森 隆行 理事長が議論を交わした。主題は、日本の物流課題をふまえ効率化をどう進めるか。そのためにCLOに求められる役割について議題に挙がった。ヒュルスマン氏は「これまで物流が過小評価されてきた。将来的に重要なのはバリューチェーン全体をしっかりと理解すること。CLOの役割は重要性を増すばかりだ」とし、バロー氏も「コロナ禍で企業は物流の重要性に気づいた。だからこそCLOは投資の意思決定ができる役員になった。物流はコストではなく価値」と、見解を述べた。
そのうえで、特定荷主に設置が義務付けられているCLOの役割について、森理事長が「これまで企業にはサプライチェーン全体を統括して観る人がいなかった。CLOが誕生することで本当の意味の物流改革、経営そのものが変わってくるのではと期待している。サプライチェーンの意味は、経済性や効率性から、いかにリスクに備えるかということに変化している。これもまたCLOの役割であり、日本企業が大きく変わるチャンスではないか」と総括。大森教授は「日本経済は今、いろいろなものが不足している。人やエネルギー、ボトルネックを解決するにはエコシステムをつくって協調していくことが重要。CLOにもそうした役割が求められるのでは」と締めくくった。
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