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ユニリーバCEO/企業の社会的責任を母校で強調

2007年08月17日/国際

ユニリーバは、パトリック・セスコーCEO(最高経営責任者)が今年5月下旬に行った、母校インシアード(INSEAD、仏)での「企業の社会的責任、社会の発展、持続可能な開発」に関するスピーチの内容を公表した。

スピーチでは、環境問題への対応を始めとする企業の社会的責任の重要性を強調。そうした活動は既に、企業活動の瑣末な部分ではなく、中核ビジネスになってきているとした。

セスコー氏が挙げているポイントは「経済成長」「社会の発展」「持続可能性」の3点。

「経済成長」の面では、事業を展開する世界の各地域への社会的貢献こそ、企業にとっての利益獲得のカギになるとした上で、とりわけアジアやアフリカなど発展途上地域の貧困解消、衛生の向上、雇用などを提供し、ブランドへの信頼を得ることが大切だと述べている。

流通面では、商品や製品供給の「上流」部分が重要だとしている。例えば、インドネシアでは、同社では製品材料や包装材の84%を販売先の地元のサプライヤーから調達しており、雇用創出だけではなく、ユニリーバの技術提供の面でも貢献を果していると強調している。

同社のインドネシア現地法人は、5000人の従業員を直接雇用しているが、流通販売を含めた現地ビジネスを総合して考えると、30万人の雇用に寄与していることになり、うち半分以上が物流および小売チェーンの範疇にあるという。こうした状況の中で、インドネシア自体の経済発展に大きく貢献できるとしている。

発展途上国の貧困をなくして経済キャパシティーを上げるという点では、従来にみられたような「売上高」の観点ではなく、「貿易」の観点に基づいて行動することが求められるという。アフリカなどでは各国政府とも連携し、各種規制を緩和し、通関や国境通貨手続きをスムーズにすることが重要になると強調している。

さらに、現地での収穫物を適性な価格で買い上げたり、環境に配慮した材料を買うようにしたりして、「フェアトレード」の意識を根付かせる必要があるとしている。その結果として、現地の自立農業者たちの生活を向上させることができると述べている。

また、セスコー氏は、インドで展開中の、「シャクティ(Shakti)・イニシアチブ」と銘打ったプログラムを紹介。貧困緩和のため、ユニリーバ製の日用品などを出来る限り低価格で販売するとともに、現地の女性たちに対して、製品を地元で売り歩く仕事を提供している。こうしたシャクティのような事業は、「社会的責任」と「ビジネス戦略」の中間に位置するのだという。

「社会の発展」という点では、「良いことをして、良い結果を得る」を企業の留意点として掲げた。とりわけ欧米などの先進国では、消費者の市民意識がより高まっているため、環境面などで特別に配慮した製品の提供が求められているという。

このほか、「持続可能性」という点でも、ブランド価値を上げるためには、社会や環境への影響を精査した上で、製品を提供することが重要だとしている。

その一環として、同社はこのほど、世界最大の茶製品メーカーとして、すべての原料茶について、環境の持続可能性を考慮した生産元から購入することを決めた。その監査については、国際NGO組織「レインフォレスト・アライアンス」に委託して、公平性を高めているという。同社ブランドの「リプトン・イエロー」のティーバッグについては、2010年までに西欧での販売分について、2015年までに全世界での販売分について、それぞれ「持続可能性」の基準をクリアしたものに切り替えていくとしている。(翻訳)

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