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公取委/19年度の下請法運用状況、違反件数「道路貨物運送業」が突出

2008年05月15日/調査・統計

公正取引委員会は5月14日、平成19年度の下請法運用状況と企業間取引の公正化への取り組み状況をまとめ、公表した。支払遅延など行為類型ごとの実体規定違反件数で、道路貨物運送業が253件と全業種中最多の21.5%を占めた。
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下請法違反で公取委が勧告を行った件数は年々増加しており、19年度は13件となった。このうち役務委託などの違反は8件で過去最多となり、道路貨物運送分野の違反が7件を占めた。
下請法違反事件で勧告・警告を行った総措置件数は2753件で、この内訳を見ても道路貨物運送業が368件(全体の13.4%)と最も件数が多い業種となった。実体規定違反を業種別に見ると、道路貨物運送業が253件(全体の21.5%)で最多となり、次いで自動車小売業(8.0%)、一般器具製造業(7.1%)が続いた。
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下請代金の減額については、勧告・警告を合わせて下請事業者3736者に対して総額10億8804万円の減額分を返還するよう指導。これも16年の下請法改正以降、最多となった。特に、法改正で新たに適用対象となった分野のうち、道路貨物運送に関連する役務提供などの委託取引を重点分野とした調査を実施、4件の勧告と250件の警告を行った。
この調査で主な違反行為は「発注書面の交付義務違反」が最も多く、手続規定違反件数の8割を占めた。発注書面を交付しない理由としては「発注書類が多く、事務処理が間に合わない」「ルート配送で取引が固定化しており、書面を交付しなくても(口頭で発注しても)仕事に支障がなかった」「荷主の要請などで緊急を要する仕事であったことから、時間的余裕がなかった」などが挙がった。
次に、実体規定違反件数の76.6%を占めた「下請代金の支払遅延」については、理由として「運送業では発注書面に下請代金の金額や支払い条件を記載していなくても、下請業者と継続的に取引しているものについて、締め切り後60日以内の支払制度を採っていれば。下請法上問題がないと思っていた」と、誤った認識を持つ親事業者が見られた。
こうした調査の結果を受けて、公取委では「道路貨物運送にかかる役務提供委託では、下請法に違反する行為が極めて多い。主な原因は親事業者による下請法の認識不足、誤った認識にあると考えられる」と指摘。また、下請法上問題があると承知しながら、業務に支障がないことを理由に違反行為を改善しないまま取引を継続するなど、「順法意識に欠ける親事業者」も一部に見られたとしている。
企業間取引の公正化への取り組みとしては、荷主による独占禁止法違反を「物流特殊指定」として、荷主と物流業者との取引適正化に向け、ことし2月に「物流調査タスクフォース」を設置。物流特殊指定の順守状況を監視し、必要に応じて改善措置をとるよう求める目的で、物流業者1万4126社を対象に書面調査を実施した。さらに監視強化のため、物流業者3万社を対象とした特別調査に着手し、3月28日に調査票を発送した。
1万4126社を対象に行った書面調査では「物流特殊指定の規定に違反する行為を荷主から受けたことがあるか」などの情報提供を求め、調査の結果荷主企業1社に対して問題となる疑いのある行為を指摘した上で是正を要請した。

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