日本郵船が4月27日に発表した2009年3月期決算によると、通期の業績は売上高2兆4299億7200万円(前年同期比6.0%減)、営業利益1449億1400万円(28.3%減)、経常利益1408億1400万円(29.1%減)、当期利益561億5100万円(50.8%減)の減収減益となった。
事業別の概況は、定期船事業で北米航路や中南米航路など一部航路で運賃水準が好転した局面もあり、特に上期は積高も前年度実績を上回った。下期は運賃水準・積高ともに急激な下落に転じ大幅な減収となり、燃料消費量の節減活動などのコスト削減やサービスの合理化にも継続的に取組んだが、高水準で推移した燃料油価格と円高の影響も収支を圧迫し、定期船事業全体の売上高は5953億円と10.7%減、営業損失243億円となった。
不定期専用船事業の自動車船部門では、上期は新興国向けを中心に輸送台数を伸ばしたが、下期は荷動きが急激に減少し、同期の輸送台数は前年度実績と所期目標をやや下回ったた。同期は新造船17隻を投入たが、荷動きが急減した下期に老朽船を中心に14隻を解撤売船処分した他、4隻の係船を実施。
一方、自動車物流事業では、中国での自動車部品、完成車陸送、完成車ターミナル事業の運営は順調で、欧州の完成車ターミナル事業も取扱量が増加している。更に、シンガポールでは新たに合弁で完成車ターミナルを開業した他、インドでも新たにターミナル周辺事業へ参画するなど、積極的に事業を拡大した。
ドライバルク部門では、中国やインドなどの新興国の旺盛な需要に支えられ、鉄鉱石・石炭・穀物などの海上荷動きが好調に推移。、豪州・ブラジル諸港で滞船していた年度当初の状況は一変し、期半ば以降は、世界の主要鉄鋼メーカーや資源会社などの減産の影響で、荷動き量が激減した。
タンカー部門は、上期は中国などの新興国の堅調な原油需要とシングルハル・タンカーの解撤・改造や減速航海などで船腹需給が逼迫したが、下期は石油需要が減少し、市況が大幅に下落した。長期契約船が主力の原油タンカーやLNG船が概ね順調に稼動したこともあり、タンカー部門全体としては増益となった。不定期専用船事業の売上高は1兆870億円と4.6%増、営業利益は1727億円と56億円の減益となった。
物流事業のNYK Logistics 部門では、自動車・電機などの製造業や流通業などの荷動きが下期から大幅に減少し業績が低迷。特に米国・欧州・日本での取扱量が大幅に減少したが、あらゆるコストの削減やオペレーションの効率化に尽力している。
アジア・中国でも、下期以降、製造業の減産や、主要な輸出先での消費低迷で輸出入関連の取扱量は減少したが、国内物流は安定的に推移している。郵船航空サービスも世界的な航空貨物輸送需要の大幅な減少に直面し、減益となった。物流事業全体での売上高は4481億円と15.0%減、営業利益は48億円と111億円減となった。
ターミナル関連事業では、国内外コンテナターミナルの下期の荷動き急減、北米西岸の各ターミナルの競争激化によるコストの上昇分を料金に反映できなかったことなどで、ターミナル関連事業の業績は、売上高1320億円と12.8%減、営業利益は60億円と50億円減となった。
客船事業は高額商品の買い控え、日本市場で一部長期クルーズの販売が低迷したことなどで売上高442億円と5.4%減、、営業利益13億円と39億円減となった。
航空運送事業は日本貨物航空が、新鋭のB747-400Fで統一された運航機材で事業運営を行い、上期は燃油サーチャージの徴収や運航・整備費用の削減に努め、前年度比較で赤字幅を大幅に縮小したが、下期の荷動きが急減し、売上高794億円と22.6%減、営業損失は179億円と前期から41億円縮小した。
次期は適正な船隊規模の維持、コスト削減活動の継続などを行うが、売上高は1兆8800億円(22.6%減)、営業利益530億円(63.4%減)、経常利益400億円(71.6%減)、当期利益180億円(67.9%減)と大幅な減収減益を見込んでいる。