ヤマトホールディングスが4月28日に発表した2010年3月期業績によると、売上高1兆2008億3400万円(前年同期比4.1%減)、営業利益613億8800万円(10.2%増)、経常利益633億1300万円(9.5%増)、当期利益322億8200万円(26.5%増)となった。
デリバリー事業をみると、宅急便事業では、個人客に対しては、きめ細やかな配達品質の提供や、会員制サービス「クロネコメンバーズ」の利用環境整備に努めた。法人客に対しては、販売拡大とコスト削減を実現するビジネスモデルや、業務の効率化をサポートする新たなサービスを提供した。連結会計年度の宅急便取扱数量は前連結会計年度を上回る結果となった。
クロネコメール便事業では、「クロネコメール便速達サービス」や宛名ラベル発行ソフト、印刷物の封入・封緘など、付加価値を提供したサービスが法人客を中心に好評を得、取扱冊数・営業収益ともに堅調な推移となった。宅急便の基盤となる情報システムの刷新を行い、輸送に係わる情報のデジタルデータ化を推進すると同時に、デジタルデータを活用した新サービス「宅急便受取指定」の提供を開始した。
デリバリー事業の売上高は、競争激化に伴う宅急便単価の下落や、航空会社との国内航空貨物輸送の運賃にかかわる会計処理の変更が影響して9664億8000万円となり、前連結会計年度に比べ3.1%減少した。費用面における生産性向上を通じた人件費の抑制、傭車費用の削減などが奏功して営業利益は380億7000万円となり、22.3%増加した。
BIZ-ロジ事業をみると、販売物流サービス事業では、通販の利便性を向上させる事業展開を図り、「注文した商品をすぐに受け取りたい」という購入者の要望を実現する「Today Shopping Service」(トゥデイ・ショッピング・サービス)が、新規通販事業者様との取引開始や、専用物流センターの新規開設など、事業の展開を大きく加速させた。一部地域においては、注文から最短4時間で商品を届けるなど、サービス面の強化にも積極的に取り組んだ。
マルチメンテナンス事業では、独自性と利便性を併せ持ったサービスは、需要を拡大させ、堅調に推移した。
BIZ-ロジ事業の売上高は、国内事業においては販売物流サービス事業を中心に拡大したが、国際的な景気減速による貿易物流サービス事業の荷物量減少、航空会社との運賃にかかわる会計処理の変更が影響して789億2700万円となり、15.1%減少した。営業利益は26億56百万円となり、16.8%減少した。
ホームコンビニエンス事業をみると、セッティングデリバリー事業では、他社にはない高度な設置技術を持つ同サービスをさらに強化するために、積極的な人員の配置・育成を行い、将来の収益拡大への布石とした。引越ソリューション事業では、強化を進めている法人転勤引越市場において「単身引越ジャストサービス」が大きく伸長。個人引越市場においては、引越の際に不用となる家具・家電製品の回収、リサイクルショップでの販売を推進した。だが、住宅着工件数の下降に見られるような引越市場の縮小が影響し、事業全体としては低調な推移となった。
ホームコンビニエンス事業の売上高は、引越市場低迷の影響により503億5000万円となり、5.6%減少した。各種オペレーションの自社化推進による下払諸費用の圧縮等により、営業費用を4.4%削減したが、営業収益の減少を補うには至らず7億100万円の営業損失となった。
E-ビジネス事業をみると、スーパーマーケットなどの小売業者様に向けて、Webシステムの構築、商品配送、代金決済を一括して提供する「ネットスーパーサポートサービス」を展開。インターネットだけでなく、「クロネコメンバーズ」向けの情報端末「ネコピット」の活用により、生活スタイルの変化に合わせた利便性を向上させるネットスーパーの導入を支援する同サービスは、利用顧客を拡大させ、着実な成長を実現した。
E-ロジトレーシングソリューション事業では、顧客の販促品の代行管理・出荷を行う「販促品オンデマンドサービス」や、顧客の製品・機器の個体情報管理を行う「SCMトレーシングサービス」が好調に推移し、事業を拡大した。売上高は、インターネット通販やトレーシングにかかわるサービス、カード業界に向けたサービスは拡大したものの、既存法人顧客の需要減少により320億9300万円となり、0.6%減少した。営業利益は60億1600万円となり、0.7%減
少した。
フィナンシャル事業をみると、ヤマト運輸直営店における利用可能な電子マネーを順次追加し、運賃支払い時における利便性の向上に努めた。一部地域においては、セールスドライバーへの支払いに対しても電子マネー決済を開始するなど、決済基盤の拡充を通じて他社との差別化を図った。同事業のコレクト事業では、決済機能に加えて、倉庫管理・商品の梱包・配送などの業務をヤマトグループが総合的に支援するソリューション営業を積極的に推進し、顧客の業務の改善やトータルコストの削減に寄与。通販市場の伸長とも重なり、コレクト事業における決済件数は順調に拡大した。
フィナンシャル事業の売上高は、宅急便コレクトサービスの決済件数は堅調なものの、ショッピングクレジット事業における関係法令の厳格化が影響して526億5800万円となり、1.8%減少した。営業利益は102億6000万円となり、2.3%減少した。
トラックメンテナンス事業の売上高は、上期での原油価格下落による燃料販売収入の減少が影響して160億100万円となり、8.8%減少した。費用面では新規整備工場の出店や整備基幹システムの新規導入など、先行投資のための費用が増加した結果、営業利益は16億4900万円となり、3.6%減少した。
来期の業績は、売上高1兆2280億円、営業利益640億円、経常利益660億円、当期利益340億円の見通し。