ヤマトグローバルエキスプレス(YGX)は7月1日、YGX羽田空港ベースの保冷施設を中心とした機能拡充について発表した。
YGXの広田敏克社長は「これまで、YGXはBtoBに特化した航空貨物輸送を行ってきた。今回、施設の拡充を図ったのは、消費者の「食の安心・安全」に対する要望が高まり、鮮度に対するニーズが高まってきたから。今後は、羽田クロノゲートや沖縄国際物流ハブと連携して宅急便も扱っていく予定だ。スピード輸送とネットワークを強化することで、ヤマトグループとしてのバリューネットワーキング構想に応えていく」と話した。
<自動仕分け室にある黄色の枠部分が航空貨物コンテナの重量計測器>
<自動仕分け室の2階部分。羽田クロノゲートと同様のスキャナを導入>
機能を拡充したのは、保冷設備スペースの拡張。従来の保冷設備スペースから約100坪拡張した。
保冷設備スペースの「クール仕分け室」には、最大72台のエアコンテナが収容可能で、室内には一時止め置きが可能な「冷蔵庫」「冷凍庫」を有している。
日本各地の生鮮食料品を届け先ごとにクロスマージし、届けることのできる保冷設備を拡張したことで、「航空貨物一貫コールドチェーン機能の高度化」を実現する。
羽田空港国内貨物地区という立地に、高速・高品質な仕分けを実現する「羽田クロノゲート」と同様のクロスベルトソーターを導入した。生鮮食料品のほか、緊急を要する医療機器や繊細な精密機器などに対するスピーディーな仕分けを実現した。
保冷設備スペースに隣接した位置に広さ約200坪の多目的スペースを用意した。特別な温度管理が必要のない品物のクロスドックやマージ作業、一時止め置きや荷物の引き取り・引き渡し場所として活用できるスペースを設けた。
機能の拡充で新たなサービスも開発。その一つが「朝どれ当日便マージモデル」。これは、「クール仕分け室」でのクロスマージにより、複数産地の朝どれ食材を、YGX羽田空港ベースに集約し、当日にまとめて配送するもの。そのほか、「百貨店催事納品モデル」や「輸入商材モデル」など機能拡充で実現できるサービスも開発した。
■YGX羽田空港ベース
所在地:東京都大田区羽田空港3-2-3E-2
構造:鉄骨造平屋建(一部事務所部分2階建)
敷地面積:8448㎡
上屋面積:5280㎡
クール仕分け室該当面積:約1025㎡
自動仕分け機該当面積:2880㎡
多目的スペース該当面積:720㎡
装備:クロスベルトソーター全長約140m、自動仕分け機性能9000個/h、X線検査装置