船舶用低速ディーゼルエンジンに装備可能なNOx三次規制対応になる新型の選択触媒還元システムMAN SCR-HPをライセンサであるMDT社が開発し、検証試験を完了した。
<船舶用低速ディーゼルエンジン用新型高圧SCR(MAN SCR-HP)のイメージ>
三井造船は4月12日、玉野事業所のテストエンジン(4S50ME-T)を用いて、共同で検証試験を行うことで、開発に寄与した。
SCRは船舶用ディーゼルエンジンで生成されたNOxをNOx三次規制の要件を満足するレベルにまで低減できる排ガス処理法。
NOxの低減は、燃焼工程後の排ガス系統に装備されたSCRリアクタ内の触媒作用によって達成される。
SCRリアクタにおいて、還元剤としてアンモニアを添加することにより、NOxは触媒作用によって窒素と水に還元される。
MAN SCR-HPは、MDT社の中速エンジン(4ストロークエンジン)での実績を活かして開発されたもので、高圧SCRの場合は、排ガスはSCRリアクタから過給機に導かれるため、同システムは機関の近くに配置されているが、MAN SCR-HPは、従来型の高圧SCRと比べて、SCRリアクタとアンモニアを添加するシステムを一体化したユニットにすることで全体的なサイズが小さくなっている。
1926年にデンマーク B&W社(現:MAN Diesel & Turbo社)とディーゼルエンジンに関する技術提携を結んで以来、世界のトップメーカーとして生産実績を積み重ね、累積生産馬力は9500万馬力を超えている。
船舶用大型低速ディーゼルエンジンの国内トップメーカーとして、NOx規制だけではなく、SOx規制やCO2削減技術(省エネ技術)の技術開発も進めている。
既に納入実績のあるME-GI(メタンと重油)、ME-GI-Ethane(エタンと重油)やME-LGI(メタノールやLPG他と重油)も含めた各種製品ラインアップを揃え、今後も環境に優しく経済性にも優れた推進システムをお客に提供していく。