全日本トラック協会は7月25日、2016年度における青年部会の活動の一環として実施した、「トラック運送業界における女性雇用促進に関する実態調査」を取りまとめ発表した。
女性の積極的な雇用促進を図るため、全国の青年部会員を対象に実態調査を実施したもの。
雇用状況、課題、定着している事業者の特徴などを明らかにし、トラック運送事業者やトラック協会等が取り組むべき方向性を取りまとめた。
概要版によると、女性ドライバーの雇用状況では、現在女性ドライバーを雇用している回答者は38.3%、また過去に雇用したことがある回答者は32.8%となっている。
女性ドライバーの雇用意欲
については、現在雇用している回答者の8割は、今後も雇用したいと考えている。過去雇用していた回答者の7割は、今後は雇用したいと考えている。雇用したことがない回答者においても、6割以上が今後雇用したいと考えている。
このことから、現在の雇用状況にかかわらず、女性ドライバーの雇用意欲は比較的高いことが推察される。
ドライバーの男女比では、2016年は2.8%と、2011年と比較して0.4ポイント増加している。
女性ドライバーの採用方法では、「社員、知人、取引先等による紹介」と「ハローワーク」とする回答が上位を占めている一方で、インターネット求人や自社ホームページの利用は比較的少ない。
このことから、採用側と求職者側の間に「人」が介在した形で、女性ドライバーを採用するケースが多いことが推察される。
女性ドライバー採用の工夫では、「女性を積極的に採用していること」や「女性が活躍していること」をアピールする傾向にある。また、短時間勤務や柔軟な休暇取得など、仕事とプライベートを両立しながら勤務できることをアピールする事業者もみられる。
女性ドライバー採用の悩みでは、「女性ドライバーが可能な業務見直し」が45.4%と最も多くなっている。さらに、「両立支援のための制度整備」(25.9%)や「女性ドライバーを迎えるための社内設備」(25.4%)とする回答もみられるなど、インフラや制度などのハード面での悩みも少なくない。
女性ドライバーの運行形態では、「近・中距離」(62.0%)が最も多くなっている。「市内配送」も半数以上を占めており、多くの女性ドライバーは比較的乗務範囲が限定された形での業務に携わっていることが推察される。
乗務している車両の種類・形状では、「中型車」が全体の半数以上を占めている。車両の形状については、「バン車」が72.8%と最も多くなっている。
輸送品目では、「食料品」が39.4%と最も多く、次いで「日用品」(26.5%)の順となっている。女性ドライバーは、重量が比較的軽く、また近距離で運べる身近な品目を輸送している傾向がみられる。
荷役作業は、「手積み・手卸し」と「フォークリフトによる積込み・取卸し等」が全体の半数以上を占めている。
女性ドライバーの給与体系では、「基本給+時間外手当」が半数以上を占めており、「基本給+歩合給+時間外手当」についても、4割以上となっている。
このことから、女性ドライバーに対しては、従来ドライバーに多く適用されてきた「歩合給を基本とした賃金体系」ではなく、「より安定した固定型賃金体系」を採用する傾向にあることが推察されるとしている。(続く)