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ロールス・ロイス、フィンフェリー/世界初の完全自律運航フェリーを実現

2018年12月03日/IT・機器

ロールス・ロイスとフィンランド国営の輸送船事業会社のフィンフェリーは12月3日、フィンランドのトゥルク市南部に位置する多島海で、世界初となる完全自律運航フェリーが実現したと発表した。

<完全自律運航フェリーの輸送船ファルコ号>
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<航路図>
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<上空から見たファルコ号>
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完全自律運航フェリーの輸送船ファルコ号は、ロールス・ロイスのシップ・インテリジェンス「Ship Intelligence」技術を採用し、パライネンとナウヴォ間の航路を自律運航することに成功した。復路は遠隔操作で航行した。

船舶はセンサフュージョンや人工知能を用いて障害物を検出し、衝突を回避したほか、最近開発された自動ナビシステムによる自動着岸も実演された。これらは全て、乗組員による人的な介入を一切伴わずに実施された。

ファルコ号には様々な高度センサが搭載されており、リアルタイムで周囲の詳細な状況を、肉眼よりも正確に把握することが可能。センサデータを融合させることにより、状況認識イメージが作成され、それが約50キロメートル離れたトゥルク市街の中心に位置するフィンフェリー社の遠隔操作センターに中継される。ここで船長が自律運航を監視し、必要な場合には船舶を制御することができる。

トゥルクの多島海で行われた自律運航試験では、ロールス・ロイスは既に約400時間の海上試運航を行っている。ロールス・ロイスの自動着桟システム「Rolls-Royce Autodocking system」も試験に成功した技術の1つ。この機能により、港湾に接近する際、船舶は自律的に航路や速度を変更し、人的な介入なしに着岸することができる。海上試運航では、様々な状況下での衝突防止ソリューションの試験も数時間にわたり実施された。

ファルコ号は全長53.8メートルの両頭船で、フィンフェリー社では1993年より使用している。これにはロールス・ロイスのツイン・アジマススラスターが搭載されている。アジマススラスターとは推進装置の一種で、水平方向に360度回転するポッドにプロペラを装備したもの。

なお、フィンランド技術庁から資金提供を受けた従来の先進自動水上アプリケーションイニシアチブ「Advanced Autonomous Waterborne Application(AAWA)」の研究プロジェクトから得た知見を活用することを目的に、2018年前半にロールス・ロイスとフィンフェリー社は共同で、自律航法による安全な船舶「Safer Vessel with Autonomous Navigation(SVAN)」と呼ばれる、新たな研究プロジェクトを開始していたもの。

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