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日通総研/2020年度の貨物輸送、新型コロナの影響各所に

2020年03月31日/調査・統計

日通総合研究所は3月30日、「2020年度の経済と貨物輸送の見通し(改訂)」を発表した。

<荷動きの実績(見込み)と見通しの「荷動き指数」(速報値)>

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それによると、2020年度の国内貨物輸送は、上期に消費増税と新型コロナの影響によって民需が総崩れし、消費関連、生産関連、建設関連貨物とも引き続き大幅なマイナスが避けられないものの、下期には消費関連貨物や生産関連貨物が持ち直し、小幅ながらプラスに転換。年度全体の総輸送量は3.4%減と、3年連続の減少を予測している。

品種別の輸送量は、消費関連貨物が消費増税や新型コロナの影響などで日用品を中心に低調となり、2.9%減に。生産関連貨物は鉱工業生産や設備投資、輸出の落ち込みなどから、4.3%減と大幅なマイナスに。建設関連貨物は、大規模な公共土木工事の執行が無いほか、住宅投資も低調が予測されることから、砂利・砂・石材やセメント・生コンなどを中心に3.0%減となる見通し。

<各輸送機関の利用の実績と見通し(速報値)>

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輸送機関別の輸送量は、景気低迷によるコンテナ需要の減退などからJRコンテナが0.6%減と2年ぶりのマイナスに転換するほか、JR車扱も石油需要の減少や石炭輸送の終了によって3.1%減と3年連続のマイナスとなることから、鉄道輸送全体で2%台のマイナスとなる見通し。

営業用自動車は、消費関連貨物や生産関連貨物が上期に大幅減、下期に小幅増。また、建設関連貨物が通期でマイナスとなり、トータルで3.9%減。国内航空は、新型コロナの感染拡大や景気低迷に伴い、2.5%減と低調な推移が続くと予測している。

<輸出入貨物量の実績と見通し(速報値)>

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2020年度の国際貨物輸送は、コンテナ貨物の輸出について2年連続のマイナスと予測。上期に欧米の自動車工場で生産縮小・停止が続くことで自動車部品の荷動きが一段と停滞する恐れがあり、設備投資需要の回復も鈍く、産業機械、工作機械等の機械類は小幅増にとどまる見通し。新型コロナの影響が長期化し、世界経済が一段と減速すると、さらに大幅なマイナスとなる可能性もあるとしている。

輸入については、個人消費の低迷を受けて消費財の荷動きが低調に。設備投資は下期に回復も、前年度水準割れが続き、生産用部品・部材や機械類は伸び悩む。新型コロナの影響で、自動車関連で中国など海外からの部品・部材の調達減少が見込まれる。

航空貨物の輸出は、アジア線と太平洋線は米中貿易摩擦の一服や新型コロナの収束により下期に持ち直し、欧州線も反動減が一巡。AIやIoT、5G関連の需要拡大により半導体関連の回復が本格化し、前年度大幅減の反動増が期待されるも、上期は新型コロナによる下押しで減少が継続する見通しで、下期で回復するも通年では前年度水準割れを見込んでいる。新型コロナの影響が長期化し、世界経済が一段と減速すると、さらに大幅なマイナスとなる恐れも。

輸入は、消費財で個人消費の前年度水準割れが続き、低調な荷動きが継続。貿易協定発効に伴う輸入関税低下によるマイナス緩和が見込まれるも、キャッシュレス決済のポイント還元策による下支えは期待できず。生産財も、輸出企業を中心とした設備投資の回復が鈍く、前年度水準割れ。自動車関連では、新型コロナの影響で中国など海外からの部品・部材類の調達が減少する見通し。

なお、今回の見通しは3月末時点で新型コロナウイルス感染症の収束時期や被害規模などが全く予測できない状況にあり、各国の経済対策についても実施の時期や規模、効果などが明らかになっていないことから、世界経済成長率を2.0%増(2019年実績見込み3.0%増)、日本の実質GDPを0.2~0.4ポイント程度下押しすると想定した前提の下で予測したもの。

■2020年度の経済と貨物輸送の見通し(改訂)
https://www.nittsu-soken.co.jp/wp-content/uploads/2020/03/report-20200330.pdf

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