商用車業界の大手2社であるダイムラートラックAGとボルボ・グループは4月21日、2050年までに持続可能な輸送とCO2ニュートラル化を達成する政策案である「欧州グリーンディール構想(European Green Deal)」を共有し、新たな合弁事業の設立に向けて、法的拘束力をもたない予備的合意に署名したと発表した。
この事業を通して、大型車両やその他に適用する燃料電池システムの開発、生産および商用化を目指す。ダイムラーは現在の燃料電池業務をすべてこの事業に集約する。ボルボ・グループはこの合弁に50%の借入無しの手元資金として約6億ユーロを出資する。
ボルボ・グループとダイムラーは独立した企業体として活動するこの合弁事業に折半出資し、これ以外の分野では引き続き競合していく。両社が協業することで双方の開発コストを削減し、厳しい大型長距離トラックへの燃料電池システムの展開の加速が可能となる。現在の景気低迷局面において、実現可能なスケジュール内に「欧州グリーンディール」の目標を達成するには、これまで以上に協力が必要になっている、としている。
両社の共通目標は、厳しい要件を持つ長距離輸送で利用可能な燃料電池搭載の大型車両の量産モデルを2020年代後半に展開すること。さらに大型車両以外の自動車および自動車以外での用途もこの合弁事業の範囲に含まれている。
合弁を可能にするために、ダイムラートラックはグループ全体の燃料電池業務を、新たにダイムラートラック燃料電池部門として集約する。一部には、さまざまな車両に応用する燃料電池と水素貯蔵システムの開発において長年の経験を持つ” Mercedes-Benz Fuel Cell 社“の業務をダイムラートラックへ移管していることも含まれる。
合弁事業にはドイツのナベルン(現 Mercedes-Benz Fuel Cell 社の本拠地)での業務が含まれ、ドイツとカナダに生産施設を保有する。
この件に関して、三菱ふそうトラック・バスのハートムット・シック社長は「私たちの目的は世界を動かし続けること。そのために、効率的であるだけでなく、持続可能である輸送ソリューションを提供していく。すでに2017年に電気小型トラック「eCanter」を発表・発売し、最近では、CO2ニュートラルな輸送に向けた我々の展望である、燃料電池小型トラックのコンセプトモデル「eCanter F-CELL」を紹介した。ダイムラートラックAG内の複数の部門及びダイムラーとボルボの新しい合弁事業と緊密に連携し、燃料電池技術を使用した商用車を2020年代末までに日本で発売することを約束する」とコメントしている。