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CBRE/福岡圏のロジスティクス市場分析、まだ拡大の余地

2021年04月06日/調査・統計

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CBREは4月6日、「拡大する福岡圏ロジスティクスマーケット」を同社の高橋加寿子シニアディレクターが分析し発表した。

<福岡圏LMT物流施設:需給バランス>
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それによると、福岡圏のロジスティクスマーケットでは、大型の開発計画が増えている。大型マルチテナント型物流施設(LMT)を対象とした集計では、ストックの増加率は2015年以降2020年までは年平均7%ほどだった。

これに対して、2021年から2023年のストック増加率は年平均18%に高まる。2017年に竣工した物件の空室消化に時間がかかったこともあって開発意欲はここ数年限定的だったが、今後は拡大ペースが加速する、としている。

なぜ、今、ここにきて福岡圏の物流マーケットに注目が集まるのかについて、3つの理由を挙げている。1つは、旺盛な需要を背景とした空室の極端な減少。2017年Q3に15.2%まで上昇したLMTの空室率は、その後急速に低下し、2019年Q2以降2020年Q4まで0%が続いている。2020年Q3に竣工した1棟も満室稼働だった。2021年に竣工する予定の3物件は、いずれも満床となる見込み。中小型の既存施設でも、まとまった空室はほとんどない状態だという。

2つ目として、全国に拠点を持つ大手企業からの需要が、福岡を含む地方都市においてふえていることを挙げている。こうした企業は、全国で在庫管理や物流網の再構築を図っており、その施設が福岡圏でも形になって表れてきたとしている。

そして3つ目の理由が、先に挙げた2つの理由の結果として、賃料が上昇していることだとしている。福岡のLMTの実質賃料は、近畿圏や中部圏の賃料水準を2割程度下回っていたが、空室率が0%になった2019年Q2を基点に急上昇した。2020年Q7時点の賃料は3150円/坪で、2019年Q2時点の賃料を10%近く上回った。賃料が上昇して一定の利回りが期待できるようになったことで、デベロッパーが投資しやすい環境になったとしている。足元ではテナントの内定ペースも早まっているため、数年先の開発計画も検討されるようになっている。

さらに、物流立地の広がりがあるとされている。従来、福岡圏の物流マーケットは、福岡市内近郊と鳥栖IC周辺に大きく分かれていた。しかし、2021年以降の開発計画は、大規模な土地造成を利用した新興立地にダイナミックに広がるとしている。福岡IC
中心とする半径30㎞圏内に広く分布し、鳥栖まで一つの商圏とするような広がりだとしている。

<福岡圏LMT物流施設:空室率、実質賃料予測>
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このようなことから、福岡圏のLMTストックを首都圏、近畿件と比較すると、人口や産業集積度合いに鑑みて、福岡圏のマーケットには未だ拡大の余地があるとしている。

そして、2021年以降は新興立地での開発が増えるが、プレリーシングは総じて順調。需給バランスは安定して推移する見通し。2022年Q4時点でLMTの空室率は3.7%まで上昇するとみられるものの、LMT実質賃料は3380円(対2020年Q4比(+7.3%)する見込みであるとしている。

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