商船三井とグループ会社の商船三井システムズは3月24日、2019年より研究を行ってきた数理最適化を活用した自動車船のスペースマネジメント(運航船各船へのブッキングの割り当てとそれに伴う航海計画の策定)の自動化実証実験に成功したと発表した。
<運航船各船へのブッキングの割り当てとそれに伴う航海計画の策定>
自動車船オペレーターとして顧客の海上輸送ニーズ・物流要件に応えるには、この船のスペースを最大限に活用することはもちろん、多様な車種構成や積み揚げ港の組み合わせ、積み港および揚げ港到着スケジュールに関する要望などの諸条件を考慮しつつ、安全輸送を絶対条件としながら無駄のないルートでの航海スケジュール策定を複数隻同時進行で行うことが求められる。
このためには熟練担当者によるパズルのような検討が必要だが、今回開発したアルゴリズムを活用することで、従来の約3倍のパターンの計画候補を同時検討することができるようになり、より最適な航海スケジュールでの貨物輸送が可能となる。
同社では、大阪大学大学院情報科学研究科の梅谷俊治教授の協力のもと、2021年より「配船計画」と「貨物積み付け計画」の支援システムの運用を開始している。この2つの工程を橋渡しする「運航船各船のスペースマネジメント」においても数理最適化活用を実現することで、自動車船業務全体での意思決定をスピードアップし、これまで以上に顧客の要望に添った細やかな輸送サービスの提供と、運航船各船のスペースの効率的活用および運航効率の改善による温室効果ガス排出量削減を加速していく。
同社グループは、デジタルトランスフォーメーション(DX)により輸送サービスの品質向上を図り、物流のビジネスパートナーとして顧客に選ばれる企業グループを目指すとしている。
なお、数理最適化とは、AIの基盤技術の一つである数理最適化は意思決定・問題解決のための一つの手段で、与えられた制約条件の下で目的関数を最小(もしくは最大)にする解を求める。資産運用、配送計画、電力運用、スケジューリングなど幅広い分野で活用されている。