国土交通省と経済産業省は2月24日、物流統括管理者(CLO)フォーラムを開催。荷主企業の担当者ら約300人が出席し、有識者による講演やCLOを設置している先進企業の事例紹介などを通じて、CLOに期待される役割や人物像について見識を深めた。
冒頭あいさつで国交省の木村 大 大臣官房審議官(物流・自動車局担当)は、物流の2024年問題は関係者の尽力により乗り越えつつあるが、人材をはじめとする物流のリソースは有限であり、今後も生産性の向上に努めていく必要があると指摘。
こうした状況を踏まえ政府では、2030年度までの5年間を「物流革新の集中改革期間」と位置付け、2026年度を初年度とする新たな総合物流施策大綱に基づく政策メニューなどを強力に推し進めていく計画であると説明した。
4月の改正物流効率化法の全面施行により一定規模以上の荷主企業に選任が義務付けられるCLOについては、「人物像が不明確でイメージがわかない」などの声もあることから、フォーラムでの講演や事例発表を通じて選任を検討する際の参考にしてほしいと述べるとともに、物流事業者も改正物効法全面施行を事業発展の契機につなげてほしいとした。
あいさつの後、木村 大臣官房審議官は、「物流統括管理者(CLO)にかかわる動向について」と題した講演を行い、CLOの役割には中長期計画の作成や定期報告があることなどを紹介した上で、物流効率化に向けた取り組みは「CLOだけで行うものではない」と強調。CLOを「コンダクター」として、各部門に精通したチーム体制を敷き、部門間の連携を深めていくことが望ましいとの認識を示した。
続いて流通経済大学の矢野 裕児 教授が、国交省が事務局を務め有識者や物流事業者、荷主企業関係者らで構成された「物流統括管理者(CLO)のあるべき姿に関するワークショップ」が取りまとめた提言について報告。
矢野教授が座長を務めたワークショップの提言では、CLOを「経営戦略の視点から物流を統括管理し、物流全体の最適化を図ることで企業価値の向上と社会課題の解決に貢献する人物」として定義し、期待される役割については、「法令上の職責を果たすことに加え、社会的課題への対応を含めて物流に関係する企業活動全体を改革する」としている。
矢野教授は提言での位置付けのほか、CLOには全体最適を検討・実施する際に発生しがちな関係部署間での「トレードオフ」を含めた利害調整に強いリーダーシップが求められると説明。「物流オペレーション」「事業戦略・業務企画」「物流関係技術」「ガバナンス・コンプライアンス」に精通したチーム体制を構築して、各部門の連携を図ることで「物流起点」の経営戦略に基づく事業運営に変革させることが重要であるとした。
「AI時代の物流と人材」をテーマに講演を行った東大大学院の西成 活裕 教授は、急速なAIの発展によりCLOが現在の物流モデルを前提に作成した中長期計画は5年後には陳腐化している可能性があり、VLA(視覚・言語・行動を統合的に扱うモデル)による物流の大変革を視野に入れておく必要があると述べ、CLOには急激な環境変化への対応を常に考えておくことが求められるとした。
また、今後は正しくAIを批判できるリテラシーが求められるとし、線形代数や偏微分、確立・統計などの数学基礎力をしっかりと身に付けるとともに、社会から信頼され、関係者を巻き込んで新たな仕組みを社会実装につなげることができる人物が必要であるとした。
フォーラムではこのほか、すでに選任されている花王、SUBARU、三菱食品のCLOによる事例紹介やパネルディスカッション、テーマ別の交流セッションが行われた。
国交省・経産省/2月24日にCLOフォーラム開き、事例紹介や交流セッション


