三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)は11月24日、この10月と11月の間、川崎製作所の屋外エリアにおいて、無人自動けん引車(Autonomous Intelligent Tugger、以下 AIT)による車両運搬の実証試験を行ったと発表した。
実証試験では1台のAITを使用し、車両エンジンの運搬を想定して、エンジン製造工場から約900メートル離れた車両組み立てラインまでのルートを走行した。今回の実証試験では、AITがあらかじめ決められたルートに沿って移動できるか、生産スケジュールから遅れは出ないかなどの実用性と、周囲の人や物と衝突しないかの安全性を確認した。
AITは通常、空港のような面積が大きく障害物が少ない場所において、貨物の運搬に用いられる。日本では、物が不規則に配置され、人や車両が縦横無尽に行き交う製造工場のような場所でのAITの使用例は多くない。今回は、EasyMile SAS (本社:フランス・トゥールーズおよびシンガポール)の AIT「TractEasy」が使用された。
EasyMile 社のAITは、MFTBCの親会社であるダイムラートラックのヴェルト工場(ドイツ・ラインラント=プファルツ州)でも導入に向けた準備が進められている。「TractEasy」は最大けん引重量25トンで、搭載したセンサーやカメラでリアルタイムに情報を認識し、自動で走行する。常時数センチメートル単位の正確さで移動でき、広範囲を認識して障害物に対処する。また車両からの無線通信(V2X)機能や予測制御、交差点や横断歩道での発進・停止の判断機能を備えている。電力で稼働し、生産活動での二酸化炭素(CO2)排出量の削減にも貢献する。
今回の実証試験において、MFTBCはAITの無人自動走行に伴って生じるリスク回避の仕組みや、この環境下における最高速度である時速11キロメートルでの走行時も安定して稼働することなどを確認した。また、経路を塞ぐ複雑な障害物など自動走行が困難なシーンを想定し、遠隔管制センターから遠隔監視・操作を行い、ダウンタイムの発生を抑えたシームレスなAITの運用も検証した。遠隔管制システムにはパナソニック ホールディングスの「X-Area Remote」が使用された。
三菱ふそう/Hacobu の動態管理サービスと車両データの連携開始