CBREは12月15日、最新レポート「不動産マーケットアウトルック2023」で、物流施設マーケットの動向を発表した。
それによると、首都圏大型マルチテナント型物流施設(LMT)の新規供給は、2023年に過去最大の91.3万坪となり、2024年も65.3万坪と、高水準の供給が2021年から2024年まで4年間続くことになる。
需要は底堅いものの、供給増大に追い付かず、空室率は2023年末に8.1%に上昇する予想である。これは直近の空室率のピークとなった2015年の6.9%を上回り、2010年の11.7%以来の高い水準となる。その背景には、コロナ禍における物流特需も重なって2019年から2021年にかけて需給が逼迫したことから、デベロッパー各社が物流施設の開発に比重を移した影響もある。同時期に、首都圏以外の大都市圏での大型開発を増やしたデベロッパーも多く、中部圏、福岡圏は2023年に、近畿圏も2024年に過去最大の新規供給となる見込みだ。空室率の水準にばらつきはあるものの、いずれの都市圏も2022年に比べて需給は緩むと予想される。
実質賃料は、空室率の高低を反映した動きとなる。2023年の首都圏は、2016年に対前年比-2.2%となって以来の下落(同-0.4%)を予想。中部圏の2018年から2022年までの5年間は年率+0.3%と賃料上昇は抑えられており、今後もほぼ横ばいにとどまると予想する。
一方で、近畿圏と福岡圏は、緩やかではあるが、上昇傾向を維持すると予想する。他の都市圏に比べて空室率の水準が低いこと、それぞれの中心部で空室不足感が強いことがその理由である。ただし、いずれの都市圏も新興立地での開発や局地的に供給が集中するケースがあるため、それらの物件のリーシングが想定以上に時間がかかるようであれば、賃料は我々の予想を下回る可能性もある、としている。
CBRE/首都圏の大型マルチ型物流施設の空室率は9.7%と横ばい