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NLJ/W連結トラック+混載で積載率8割へ、最新技術を披露

2023年07月25日/IT・機器

NEXT Logistics Japan(以下、NLJ)は7月25日、物流に関するプレスセミナーを開催した。テーマは「2024年問題だけではない。日本の物流の抱える緊急課題」。同月21日に相模原センターでのリアル開催に続き、オンラインでの開催となった。

<7月21日相模原センターでの技術デモンストレーションの様子>

セミナーではまず、同社の梅村幸生 代表取締役CEOが登壇。「日本の物流課題5つの驚き」として、ある家庭の1日を例に、物流が止まることによる影響の大きさについて説明。「当たり前の1日が悲劇となろうとしている。その真相は運びたいものに対する輸送キャパシティの不足。日本の物流課題は2024年問題以前からある」と問題提起した。

梅村CEOが挙げる5つの驚きは、1.日本の貨物輸送の91.6%がトラック輸送であること、2.トラック輸送の多くはBtoB、3.ドライバーの労働時間は平均より2割長く給与は2割低く、ドライバーのなり手がいない、4.積載率が約4割で生産性が低い、5.2024年4月の働き方改革後、時間外労働960時間でもまだ過労死ラインであること。「2024年問題は、2024年で終わらない」と語った。

<NEXT Logistics Japan 梅村CEO(右)と立教大学の首藤教授>
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続いて、労働経済学を専門とする立教大学経済学部の首藤若菜教授が「日本の物流は持続可能なのか?」と題し、基調講演を行った。このなかで首藤教授は、「ドライバーの時間外労働時間は例外として定められているが、適用後さらに短縮させなければならない。2024年は始まりの年。労働時間を短縮し人手を確保するためには、賃金を上昇させる必要がある。それには一人のドライバーがより多くの荷物を運び、より高い運賃を獲得するといった、生産性の向上が求められる」と述べた。

これを受け、梅村CEOが自社の取組みや実績についてプレゼンテーション。同社は、6月2日に政府が取りまとめた「物流革新に向けた政策パッケージ」に対し、それを具現化するべく、自動車関連の最新テクノロジーによる社会課題解決に挑んでいる。具体的には、ダブル連結トラックに異業種の荷物を混載すること、またそのために必要となる混載システム「NeLOSS」(ネロス)の開発、運用により積載率を向上させること、自動荷役による省人化、水素燃料大型トラックの実装などだ。

<NEXT Logistics Japanの取組み>
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同社は、全高4.1mのダブル連結トラックを9台導入した。これは世界最大級となる大きさで、荷室容量150m3、大型トラック2.5台分に相当する。1台のダブル連結トラックをシェアし、さまざまな業種・業態の荷物を混載し長距離幹線輸送に活用することで、積載率の向上に繋げる。ただ、課題となるのは、荷姿や荷物の重さ、リードタイム等が各社それぞれ異なること。同取組みへの賛同企業は42社あり、同社は約3年間かけて恒常的な高積載の実現に取り組んだ。

<全高4.1mのダブル連結トラックを導入>
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<ウイングオープン>
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この結果、荷姿を標準化して荷物を混載、輸送をシェアリングすることで、7割~8割の積載率を実現、CO2排出量も35%削減した。同取組みには、さまざまな業種・業態の荷主が参画しており、「ステアリングコミッティ」と呼ばれる会議を開催し、荷主・運送事業者の枠を超えて課題解決に取り組んでいるという。

<業種・業態を超えた荷主が参画>
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また、同社は集まった荷物をいかに効率よく積載するかという課題に対し、量子コンピュータを使った自動割り付け・積み付けシステム「NeLOSS(NEXT Logistics Optimal Solution System:ネロス)を開発。これにより従来、例えば約2時間かかっていた荷物の割付・積み付けが40秒に短縮される。荷物の割り付けと積み付けをクロスさせたシステムは、同社によると世界初。「ゆくゆくはオープンプラットフォーム化し、トラック幹線だけでなく船舶、鉄道と日本の物流を最適化し、利益をドライバーに還元したい」と梅村CEO。

<自動割り付け・積み付けシステムNeLOSS(ネロス)>
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同社は省人化を目指し、自動荷役システムや水素燃料大型トラックの実装にも取り組んでいる。さらに、こうした最新技術を実装するための中継施設「クロスドックセンター」を設立する構想などもある。

<自動荷役システム>
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<導入した水素燃料大型トラック>
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<社会課題解決型クロスドック>
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梅村CEOは、「より少ないドライバーでより多くの荷物を運ぶしくみの枠組みを作りたい。デジタルとリアルで日本の物流を最適化し、テクノロジーの力で日本の物流を持続可能なものにしていく」と力強く語った。

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