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最低賃金調査/「賃上げ」7割、運輸・倉庫は平均下回る

2023年08月09日/調査・統計

帝国データバンク(TDB)は8月9日、最低賃金引き上げへの対応策などについてアンケートを行い、調査結果についてまとめた。

<アンケート結果>
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それによると、今回の最低賃金の引き上げを受けて「対応する」企業は83.2%と8割超え。具体的な対応策として、「賃上げを行う」企業は7割(70.6%)となった。また、従業員を採用する時の最も低い時給(現時点)は約1086円で、2023年度の最低賃金の目安(1002円)を84円上回る。

<採用時の最も低い時給>
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業界別にみると、「不動産」「建設」「サービス」で全体を上回る一方、「小売」「運輸・倉庫」などでは下回った。企業からは、「運賃への転嫁が進まないなか、止まらない燃料費高騰に人件費アップ、来年には労働時間の削減まで課せられる。1年先の見通しが立たず業界に人が集まらない」(運輸・倉庫)との声も聞かれた。

2023年春季労使交渉では賃上げ率が平均3.58%と30年ぶりの高水準に達するなど、物価高等を背景に賃上げの機運は高まっている。しかし、一方で企業からは、最低賃金の上昇が新規採用に加えて既存従業員の賃金アップにつながり収益を圧迫するほか、「年収の壁」が招く、働き控えによる人手不足の深刻化を懸念する声がある。

TDBでは、「こうした課題を解決するには、原材料費や光熱費に加えて人件費を適切に商品・サービス価格へ転嫁できる環境の整備や、成長分野への労働移動などを通じた企業の生産性の向上、『年収の壁』是正に向けた制度の見直しが急がれる」としている。

<最低賃金(全国平均)の推移>
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厚生労働省の審議会は7月28日に2023年度の最低賃金の目安を、全国平均で時給1002円にすると決め、初めて1000円を超えた。物価高への対応などが重視され、最低賃金は現在の961円から41円(2022年度31円)上昇、上げ幅は過去最大で、伸び率も4.3%(同3.3%)と高い水準となった。今後は各都道府県の審議会がそれぞれの地域の実額を決めていき、適用は10月頃が見込まれる。

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