帝国データバンクは10月4日、石川県金沢市に本社を置く一般貨物運送事業者のアペックスが、10月3日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日弁済禁止の保全処分および監督命令を受けたと発表した。
同社は、1976年4月創業、78年4月に法人改組した貨物自動車運送業者で、93年に冷蔵・冷凍倉庫を建設して以降は、低温流通を軸に営業を展開していた。自社の冷蔵・冷凍倉庫を配送拠点として、大手冷凍食品会社や中小食品メーカーなどが製造した冷凍・冷蔵食品を各メーカーや物流企業などから荷受けし、北陸3県下の食品スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、外食チェーンなどへ配送するほか、商品の保管収入なども獲得。業務のIT化など物流の効率化を進める先進的な取り組みも行っていたほか、2015年以降は北陸エリアの運送会社をはじめとするM&Aを推進してグループ事業を拡大していた。
その後も本社周辺での冷凍倉庫の新築および増築のほか、2019年には福井市内で新物流センターを新築稼働させるなど、積極的な設備投資を実施。これにより業容は拡大傾向を続け、2023年3月期の年収入高は約47億9200万円を計上するなど、当地トップクラスの規模に成長するとともに、将来的な株式公開も視野に入れていた。
しかし、積極的な事業投資に対し、元より資金基盤は脆弱だったため、貨物運送事業以外にタクシー事業、スーパー銭湯事業など異業種を含めて10社以上にのぼったM&A投資や、倉庫・物流センター・車両などの設備投資資金を金融借入に依存。これにより借入金は年商規模にまで膨らむ一方、投資に見合う収益を上げることができず、元金返済や支払利息の負担が資金繰りを圧迫していた。
こうしたなかでも、今期に入りさらなるM&Aが推し進められたが、これがさらなる資金繰りの悪化を招き、9月末の決済資金が不足する事態に陥った。このため、9月末の元金返済に向けて取引金融機関に一時停止の通知を行うとともに、私的整理による再建の道を模索したが、その見通しが立たず、民事再生による法的再建を目指すこととなった。今後スポンサー探しを行う予定とされる。
負債は約92億円で、石川県で今年最大。県内の負債50億円を超える倒産は、2013年1月の東京ストアー以来。
倒産速報/オリエントライン民事再生法適用申請、負債推定80億