日本梱包運輸倉庫は10月20日、埼玉県入間郡三芳町の「三芳営業所」で建設していた新倉庫を完成させ、竣工式を行った。
新倉庫は、三芳営業所の東側にあった既存倉庫を解体し、同倉庫跡地と追加取得した土地に増築した。
敷地面積は3万2339.95m2、建屋は地上5階建て(倉庫4層)延床面積3万1403.64m2で、同社でも有数の規模となる。8月末に引き渡しを受け、9月初旬から一部荷物の搬入を開始、設備の設置を経て、このたび完成を迎えた。
EC商品の取り扱いを中心とした施設で、4層の倉庫スペースは1階が入出荷場、3階がピッキング・流通加工場、2階と4階が保管場となっている。
1階には、高床バースを建屋の東・西・北の3面に合計27台分整備し、EC物流によるトラックの頻繁な出入りに対応。各階を結ぶ搬送設備は、荷物エレベーターを2基と垂直搬送機を5基設置した。
3階は空調設備を完備しており、夏場でも快適な作業環境を構築。天井高も3.7mと標準よりも低く設定してある。対して、4階は天井高を8.5~10.5mと高く設定したことに加え、収納数6245パレットの移動ラックシステム(トヨタL&F)を導入し、保管効率を高めた。
システム面では、自社開発のWMS(倉庫管理システム)を採用。作業員は、WMSと接続したハンディ端末を使って入出荷等の作業をペーパーレスで行う。また、システム化によって初心者でも簡単に作業をこなせるようにしたほか、業務を標準化し、応援に駆け付けた他拠点の従業員がすぐに作業に馴染める仕組みを整えた。
また、人の出入りが多く、強固なセキュリティが求められるEC物流に対応するため、三芳営業所では新倉庫の建設に伴い、外門にセキュリティシステムを採用したほか、新倉庫の内部にも28台のカメラを設置している。
屋上には、屋根全面に太陽光パネルを敷設しており、発電した電力を自家消費することで、省エネと環境に配慮。敷地内には非常用発電機を設置してあるほか、老朽化した倉庫の解体跡地に自家給油所も建設中で、非常時にも施設が稼働できる体制を整える。
共用部は、全国にある同社の拠点のなかでもデザイン性の高い内装を施した。事務所はブース型の商談室を設けるなど、都心のオフィスを連想させる造り。休憩所には、クッションソファーやカウンターテーブルなどを揃え、明るく快適で働きやすい環境を整えた。
<披露されたダブル連結トラック。ドライバー不足対策として順次追加導入予定>
三芳営業所は、1964年に開設した同社初の営業倉庫。老朽化した倉庫の建て替えを検討する中で、消費地近郊の立地を生かし、コロナ禍を経て市場拡大が続くEC商品をメインに取り扱うセンターとしてリニューアルした。すでに一部のスペースではEC事業者の業務受託が決まっているほか、EC以外にも周辺に工場がある菓子メーカーや電気製品の物流も請け負っている。
関越自動車道「所沢IC」と「三芳スマートIC」からともに3.6kmの位置にあり、首都圏方面、北関東方面へのアクセス利便性が高い立地。三芳スマートICではフル化に向けた工事が進んでおり、今後は交通アクセスのさらなる向上も見込まれている。
施設内覧後に行われた直会では、新倉庫について、日本梱包運輸倉庫の大岡 誠司社長が「当社では、BtoBからBtoCへのスイッチングにチャレンジしており、一環としてEC業務の拡大に取り組んでいる。新倉庫では、次世代を見据えたビジネスモデルを担う施設として、セキュリティの強化、自動倉庫によるパレット収容力175%増、WMSとの連携による情報管理など、省人化・省力化・システム化を図った」とコメント。
また、ニッコンホールディングスの黒岩 正勝社長は、「新倉庫のコンセプトは、外波山所長をはじめ同営業所の若手従業員が考案した。これからの時代に合わせたEC物流の拠点で、次世代の倉庫だと自負している」と語った。
■三芳営業所 新倉庫概要
所在地:埼玉県入間郡三芳町藤久保1012
アクセス:関越自動車道「所沢IC」「三芳スマートIC」各3.6km
敷地面積:3万2339.95m2
構造・階数:鉄骨造地上5階建て(倉庫4層)
延床面積:3万1403.64m2
有効天井高:1階5.2m、2階5.2m、3階3.7m、4階8.5~10.5m
床荷重:各階1.5t/m2
設備:垂直搬送機5基、貨物用エレベーター2基、空調設備(3階)、移動ラック(4階)
トラックバース:高床式1.0m×27台(大型車17台分、中型車10台分)
営業開始:2023年10月