日本GLPが顧客の課題解決支援の一環として手がけるサロン形式の個別商談会「GLPコンシェルジュ マッチング・サロン」の第3回目となるイベントが、東京・八重洲の同社オフィスで11月8日に開催された。今回は、物流の人手不足を解決する最新ソリューションをテーマに据え、3社のテクノロジー企業が導入事例をもとに自社のソリューションを紹介した。登壇企業の1社であるAzoopの朴 貴頌(Kwisong Park)社長/CEOに、マッチング・サロンに登壇した感想を伺った。
―― Azoopでは物流に関連したさまざまなサービスを展開されていますね。
朴 そうですね、我々の提供するサービスは物流業界のなかでもBtoBの運送を担っているトラック運送会社さんに向けたもので、国内に約6万2000社ある企業の経営改善のお手伝いをさせて頂いています。「トラッカーズ」シリーズとして5つのサービスを展開しており、祖業となった車両の売買をインターネットオークション形式で行う「トラッカーズオークション」を2018年に開始したのをはじめ、運送会社の業務DX化を支援する「トラッカーズマネージャー」や、ドライバー専門の求人サービス「トラッカーズジョブ」を展開しています。また、日本M&Aセンターさんと共同で運送会社のM&Aを仲介する「トラッカーズM&A」という事業も手がけています。
―― これらのサービスはどのような方針で展開しているのでしょうか。
朴 トラッカーズの各サービスでは、運送会社さんの利益を最大化することにフォーカスしています。車1台を購入すると10年程度の期間運用することになる訳ですが、車両を購入してから廃車するまでの間、いかに原価を抑え、利益を上げるかに主眼を置き、サービスを段階的に拡充してきました。
―― 「トラッカーズマネージャー」は10月に契約車両台数が1万台を突破しました。
朴 おかげさまで多くの方にご支持を頂いています。「トラッカーズマネージャー」は2020年3月にβ版を公開したのですが、当時はまだ物流業界でDXやデジタル化の温度感がさほど高くなく、まだエクセルや紙の管理でいいという意見が多数を占めていました。それが、コロナ禍によって日本全体でデジタル化が進み、また、2024年問題によって運送会社の経営者の思考が変化し、従来のやり方では利益が上がらないし業務も回らないということで、少しずつ利用者が増加しています。
―― どのような点が顧客の支持を得ているのでしょうか。
朴 1つは「トラッカーズマネージャー」の管理が改善基準告示に対応している点です。配車担当者がドライバーの勤務時間の集計業務をしなくて済むようになり、業務の効率化が図れます。あとは、情報が本社や各事業所に分散していたり、拠点ごとに車両やドライバーの管理状態がバラバラだったり、履歴も残していない状態の企業が多いのですが、こうした企業が「トラッカーズマネージャー」を利用することで、クラウドで情報を一元管理し、有効活用することで、経営の意思決定につなげる、といった形で活用して頂いていると考えています。
―― 御社は2021年12月にモノフルからの出資を機にGLPグループと提携をスタートしていますね。
朴 資本提携は2021年12月からですが、GLPグループとはモノフルによる出資があった約1年前から業務面で提携を進めていました。主に「トラッカーズマネージャー」とモノフルの「トラック簿」で顧客を相互に紹介し合うというところから始まり、1年弱を経て出資に至ったという経緯があります。
―― 2022年以降に「トラッカーズマネージャー」の契約台数の増加率が上がっていますね。これは提携の効果でしょうか。
朴 それもあるかと思います。GLPから顧客を紹介して頂いたケースもありますね。GLPは「GLPコンシェルジュ」を通して物流施設のテナントである物流会社と当社のようなパートナー企業をつなげる取り組みをしており、それが事業成長の後押しになったと思っています。
―― GLPとの連携はどのような形で行われているのですか。
朴 GLPから課題を抱えて困っている荷主さんを紹介して頂いたり、逆に当社のサービスをGLPを通してテナント企業に紹介して頂き、ご興味のある企業からお声がかかるといった具合で、双方向でコミュニケーションがとれています。
―― 今回のマッチング・サロンに登壇した経緯は。
朴 GLPから、DXをテーマにしたセミナーを開催したいということで、講演企業の1社としてお声掛け頂きました。サロンには物流会社やメーカーの物流部門の担当者が多数参加されるとのことで、新たな接点を持つことができそうだと感じました。
―― マッチング・サロンではどのような接点を期待していますか。
朴 物流会社はもちろんですが、今後は「トラッカーズマネージャー」を荷主企業にもご活用頂きたいと考えています。そのため、マッチング・サロンでは荷主企業との接点獲得に期待しています。
―― 「トラッカーズマネージャー」は運送会社向けのサービスではないのですか。
朴 「トラッカーズマネージャー」は、もともとは運送会社向けに開発したサービスですが、実運送会社を管理する荷主企業にも導入して頂いているケースがあります。物流の課題には運送会社だけで解決できるものもありますが、目前に迫った2024年問題は荷主をはじめ周辺のプレイヤーと共同でないと解決できない課題だと認識しています。「トラッカーズマネージャー」のメインの利用者は運送会社ですが、今回のマッチング・サロンで得た接点を通じて、これからは荷主企業にも積極的にサービスを提案し、物流課題の改善に役立てて頂きたいと考えています。
―― 普段はこうした新規顧客との接点はどのような形で得ているのでしょうか。
朴 物流関連の展示会への出展や自社セミナーを開催したりもしていますが、主にはフィールド営業ですね。ですから、マッチング・サロンは今後サービスを紹介していきたい荷主企業が集う、なかなか無い貴重な機会です。
―― 御社から見て日本GLPの強みはどこにあると感じますか。
朴 GLPコンシェルジュや、モノフルによる物流DXのエコシステムの構築など、業界他社と比べて独自の取り組みをしていますよね。不動産のなかでも物流に特化していて、荷主や運送会社など、テナント企業以外にも物流業界全体を持続可能なものにするためのお手伝いをしている企業は他社には少ないと思います。
総合デベロッパーの物流部門の方と接点を持つ機会が多いのですが、物流に特化していないため、なかなか痒い所に手が届かないといったことは感じています。GLPは物流に特化しているので、一緒に仕事をしていても話が通じやすいですし、非常にやりやすいパートナーだと思っていますね。当社はじめパートナー企業のサービスによってテナント企業の課題解決を支援し、一方で我々は自社のサービスを拡大できる、まさにWin-Winの関係が築けていると思います。
―― (セミナー終了後)マッチング・サロンに参加してみた感想は。
朴 講演後の懇親会で、運送企業の方だけではなくメーカー等の荷主企業さんからもお声かけ頂き、各社が2024年以降を見据えた物流課題に本格的に取り組もうとしているのを感じましたし、私たちのサービスがその一助を担えると確信できた会でした。後日に個別商談させて頂く企業さんも数社ありますので、是非お手伝いできるよう努めて参りたいと思います。今回のマッチング・サロンでは、商談機会の創出はもちろんのこと、私たちが新たな気づきやヒントを得られるとても貴重なお時間でした。
―― LNEWSの読者へメッセージを。
朴 2024年問題で労務管理がネックになっています。アナログ管理をしている企業さんがまだ多くいますが、アナログな労務管理をDXによって効率化することで2024年問題の課題解決の一助になりたいと思っています。
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