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経産省/シノプスが配送量平準化で車両台数39%減可能と推計

2024年02月27日/SCM・経営

シノプスは2月14日、同社が取り組んでいる「令和5年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(販促商品等のリードタイムの延長、物流レジリエンスの向上に向けた小売業の在庫管理・発注業務のDX)」の実証実験で、店舗配送時のトラック年間約300台削減、小売業の販促時の追加発注を79%削減などの効果が確認できたと発表した。

実証実験は、経済産業省から同事業を受託しているトーマツからの再委託によって、2023年10月からシノプスが実施しているもの。同社の小売業向け需要予測サービス「sinops-CLOUD」を活用し、物流を圧迫する一因と考えられる「新商品・販促商品に係る発注適正化(リードタイムの延長等)」、「店舗配送量の曜日平準化」、「気象予報情報の活用によるレジリエンス向上」をテーマに、コープさっぽろとウオロクの店舗・物流センターで検証を行っている。

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<コープさっぽろ物流センター>
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<新商品・販促商品に係る発注の適正化(リードタイムの延長等)>
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今回公表した実証実験の経過によると、コープさっぽろの店舗・物流センターで行っている、新商品と販促商品の小売りから仕入先への発注確定日を前倒しする「新商品・販促商品に係る発注の適正化(リードタイムの延長等)」では、需要予測データを活用して、従来の追加発注分も考慮した上で初回の発注量を2週間程度まで延長した場合、販促期間中の発注回数や在庫数にどのような影響を及ぼすかシミュレーションを実施。

シミュレーションと特定の販促期間に店舗での実績を比較した結果、店舗での実績と同程度の在庫日数を保ちながら、販促商品の追加発注を79%削減、また過剰な追加発注を抑制したことで対象商品のセンター在庫を42.9%削減、小売側でも、本部で各店舗に対して掲示している発注参考値の準備業務の所要時間が82%削減される効果が推計された。

<店舗配送量の曜日平準化>
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コープさっぽろの店舗・物流センターで行っている、仕入先から小売への配送量を曜日に限らず一定にコントロールする「店舗配送量の曜日平準化」の実証実験では、需要予測データを活用し、納品が特定の曜日に偏らないよう店舗発注をコントロール。

結果、配送量の平準化を実施しても店舗の欠品率は増加せず、通常通り運営できることが分かったほか、店舗の陳列業務の工数も削減されるなどの効果が確認された。

また平準化する際に、1度に配送するアイテム数を削減することで、トラックの計画的手配が可能になり、1地区/1月あたりの配送トラックを64台から39台に削減(年間にすると1地区あたり300台の配送トラック削減)できることや、物流センターでの1年あたりの必要人時を5%削減(3377万円のコストに相当)できることが推計された。

<気象予報情報の活用によるレジリエンス向上>
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ウオロクの店舗・物流センターで行っている、気象災害時の物流圧迫を緩和する「気象予報情報の活用によるレジリエンス向上」の実証実験では、新潟県での大雪災害を対象に、大雪予報発令前に大雪時の売れ筋カテゴリ(即席めん、レトルトカレー、パスタ、カイロ等)の発注値を需要予測システム上で引き上げた。

その結果、実証対象店舗では、対象外の店舗よりも大雪時の欠品数が19%抑制され、売上も増加した。また、大雪による災害発生中には発注値に上限(平常時の1.3倍)を設定する机上検証を実施し、災害発生中の物流が混乱する状況下でも、店舗の欠品を抑制しながら物流センターの作業人時を13%に抑制できることが推計された。

シノプスは、これらの実証実験を現在も実施中で、今後は机上検証中の検証内容を実店舗とセンターで実地検証し、効果測定を行っていくとしている。

なお、今回発表した実証実験の途中経過はトーマツから、2024年2月20日に経済産業省が開催予定の第2回北海道地域フィジカルインターネット懇談会内で発表し、最終報告は4月以降に経済産業省のホームページ内に掲載される予定。

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