日本郵船は3月5日、米国の船舶向け排気ガス処理事業会社STAX Engineering Pty Ltd.(スタックスエンジニアリング、「スタックス社」)と、船舶からの排気ガスを回収・処理する技術の利用契約を締結したと発表した。
この技術により、カリフォルニア州に寄港する同社運航の自動車専用船が停泊中に発する排気ガスを2025年1月から回収・処理する。カリフォルニア州大気資源局(CARB)が同州に寄港する船舶に定める排気ガス規制の対象拡大に対応した取り組みだ。
同技術はバージ(艀[はしけ]、小型で平底の船舶)または陸側に設置された排気ガス処理装置と船舶の煙突を鋼管とホースでつなぎ、排気ガスを空気中に出さずに回収・処理する。船舶に追加設備を導入する必要がなく、同社はカリフォルニア州内の主な港で、運航する自動車専用船を対象に同技術を用いた排気ガス回収・処理サービスを利用する予定。同社とスタックス社の契約金額は総額1600万ドル。
CARBによる外航船舶の排気ガス規制は07年に定められ、14年にカリフォルニア州に寄港する外航コンテナ船・旅客船などを対象に、停泊中に排出する窒素(NOx)、二酸化炭素を含む反応性ガス(ROG)、粒子状物質(PM)、ディーゼル微粒子(DPM)などの削減が義務づけられた。25年には自動車専用船やタンカーが対象に加えられる予定で、対応が急務となっている。