川崎重工業は4月8日、船舶の安全な離着岸を支援する取り組みの一環として、「係船索張力監視装置」の販売を開始すると発表した。
同製品は、着岸した船舶を岸壁に繋ぎ止めておく係船索と呼ばれるロープの張力を、離れた場所で監視できる装置。
従来は巡回によって確認していた係船索にかかる張力を、係船機のブレーキにセンサーを組み込むことで、ブレーキ保持力を数値化するとともに、独自のアルゴリズムによって係船金物と陸上ビット間の索張力を推定し、表示する世界初の機能を有している。
さらに、ブリッジ(操舵室)や荷役監視室など、船内の安全な場所ですべてのウインチのブレーキ保持力や係船索の張力をリアルタイムで数値やグラフにより一括表示することで、より正確な係船管理とその省力化や船員の安全性の向上を実現している。
なお、同製品は同社と川崎汽船、川崎近海汽船の3社で取り組んでいる「安全離着岸支援システム」の研究・開発で、実船を活用した実環境下での実証試験を重ね、船員の意見を元に実用的で使いやすい索張力表示装置画面や機能を実現している。
停泊中の船舶では潮汐変化や荷役の状況により、係船索に発生する張力が変動するため、安全な係船には張力の管理が重要となる。これまで、係船索の張力は、係船設備の特性を熟知した船員が夜間や悪天候下にかかわらず、甲板上を1~2時間ごとに巡回して確認し、定量的ではなく視覚や聴覚などをもとに判断していた。