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キリンビール/名古屋工場で2024年問題対応に10億円投資図る

2024年04月19日/IT・機器

キリンビールは4月18日、キリンビール名古屋工場で、6月から自動倉庫の増強として「新自動ラック」の導入をすると発表した。

さらに、「新自動ラック」の稼働開始に合わせ、新たに「レイヤー自動ピッキング装置」も導入する。また、商品の保管倉庫に関しても、従来清涼飲料の保管をしていたスペースを酒類倉庫として整備することにより、酒類保管スペースを拡張し、この4月より運用を開始する。これら一連の取り組みに対し、総額約10億円を投資する。

近年の物流業界では、2024年4月の働き方改革関連法の施行やガイドラインの見直しにより、トラックドライバーが働くことが出来る時間が短くなり、ドライバーが働きやすい環境の整備や、荷待ち待機時間の短縮が必要とされている。また、物流業務従事者全体の減少も進んでおり、将来的にはより少ない人数でのオペレーション体制の構築が求められている。同時に、将来的なドライバー不足の進行を見据え、より少ないトラック台数での配送体制の構築も必要になってくる。

キリンビール名古屋工場では、「新自動ラック」の導入により、トラックドライバーの荷待ち・荷役時間を短縮し、ドライバーの待機時間削減を推進する。また、「レイヤー自動ピッキング装置」を導入することで省力化を進め、永続的なピッキング機能の確保と作業負荷軽減を目指す。さらに、酒類保管スペースを拡張し、繁忙期などに不足していた物流拠点能力を強化することにより、慢性的に使用していた場外倉庫使用を抑制し、工場と場外倉庫を行き来するトラックを減らすことにつながる。

「新自動ラック」及び「レイヤーピッキング装置」は、2024年6月に完成し、試運用を経て2024年9月から最大出力にて稼働予定で、拡張された酒類の保管スペースは、2025年4月より運用開始予定だ。

<新自動ラック>
20240419kirin1 - キリンビール/名古屋工場で2024年問題対応に10億円投資図る

なお、各取り組みの概要と期待効果では、「新自動ラック」では、トラックへ積み込む貨物を自動で出庫する「自動ラック」のラック内で荷物の搬送を行うクレーン、入出庫ステーション(自動ラックの出入口)を更新し、入出庫能力を増強する。

入出庫口数の増設と、出庫スピードを従来比の約2倍に向上させることにより、14 分/台の荷待ち時間を削減する予定。また、今回の更新により、従来の自動ラックに比べ、倉庫の収容能力は3.3倍に向上し、保管効率も向上する。

<レイヤー自動ピッキング装置>
20240419kirin2 - キリンビール/名古屋工場で2024年問題対応に10億円投資図る

「レイヤー自動ピッキング装置」は、自動でピッキングを行うことが出来る装置。従来、棚に置かれた製品保管ラックまで移動し、ラックからフォークリフトで製品を取り出し、出荷パレットに製品を載せて整えるといった一連の作業を人手によって対応していたが、本装置の導入により、階層単位で自動でピッキングを行えるようになる。なお、レイヤー自動ピッキング装置の導入は、キリンビールの工場では初となる。

自動化によって、約半分の人手で済むなど、作業の削減・作業負荷軽減を実現見込み。ピッキングパレットが減ることによって、トラックへの積み込みの生産性が上がり、5分/台の荷待ち時間削減に寄与する。

「酒類保管スペースの拡張」は2023年2月までキリンビバレッジの清涼飲料の保管・出荷機能として使用していた倉庫を、新たに酒類保管ができるように整備。移行期間を経て、2025年6月から本稼働する予定だ。この酒類保管スペースの拡張により、従来場外倉庫と出荷拠点の工場を行き来していたトラック約2000運行が抑制され、場内に入構するトラックが減り、混雑が緩和されることで、約4分/台の荷待ち時間抑制につながる。また、酒類倉庫拡張に伴い、積み込み回数が増えることに対応するため、積み込み場所の運用を変更し、ドライバーの工場内での総待機時間の抑制を図る。

キリングループでは荷主としての責任を果たすべく、物流コスト全般とトラック台数のコントロールをしながら、トラックドライバーをはじめ、物流業務に関わる全ての人々・団体と協働しながら、必要な物量を運びきり、顧客に商品を届けるとしている。

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