日本郵船は7月17日、横浜港で同社が保有し世界初の商用のアンモニア燃料船として今夏竣工予定のアンモニア燃料タグボート(A-Tug)に、燃料アンモニアを「Truck to Ship方式」で補給した。
今回の燃料アンモニア補給は、横浜市港湾局の協力のもと、日本郵船が今年5月下旬にJERAと結んだ燃料供給契約に基づいて、横浜港本牧ふ頭で実施された。
「Truck to Ship方式」は船舶への燃料供給手法の1つで、タンクローリーからフレキシブルホースを通じて船舶へ燃料を供給する方法。同社によると、この方式での船舶への燃料アンモニア補給は世界初となる。
補給されたのは、レゾナックが生産している使用済みプラスチックを原料の一部に使用した「ECOANN(エコアン)」で、燃料アンモニアの中でも特に環境に配慮して製造されたもの。
アンモニアは燃焼しても二酸化炭素(CO2)を排出しないため、地球温暖化対策に貢献する次世代燃料として注目されている。一方、毒性があるため補給時には十分な安全対策が必要となり、今回の補給に先立ち、JERA、レゾナックをはじめ関係者と協議を重ね、安全な運用方法の確立や港湾地区への安全な輸送・受け入れ体制の構築に取り組んだ。
日本郵船は今回の燃料アンモニア補給成功を通じて得た知見をもとに、海運業界における燃料アンモニア利用に関するパイオニアとして次世代燃料の普及を通じ、環境負荷低減に貢献する考えだ。