出光興産および出光エナジーソリューションズは9月5日、白老油脂（セコマのグループ会社）、ナラサキ石油、阪神内燃機工業と協力し、バイオ混合燃料による燃料バンカリング船の長期継続運航試験を実施したと発表した。
＜バイオ混合燃料による継続運航のサプライチェーンイメージ＞
FAMEを24％の割合で混合したバイオ混合燃料を2023年9月から2024年6月までの約10か月間継続使用し、寒冷地である北海道で、既存燃料使用時と設備・運転条件などを変えずに支障なく運航できることを確認した。
今回の試験で使用したバイオ混合燃料は、従来の船舶用燃料と比較して約20％のCO2排出削減効果が期待できるが、マイナス気温下で固化する低温流動性および長期継続利用による酸化安定性が課題だった。同社は2023年2月に苫小牧港内の厳冬期における小型船舶（総トン数99G/T）を使用した約１か月間の運航試験において、低温流動性の課題をクリアした。
今回の運航試験はより大きな船舶（総トン数497G/T）において、約10か月間の長期間にわたるバイオ混合燃料のエンジン・運航に対する酸化安定性への影響を検証することを目的として実施した。その結果、今回の運航試験における酸化安定性への影響はなく、既存燃料と同じように運航できることが確認できた。
また、運航試験終了後には主機関等の開放検査を行い、バイオ混合燃料使用による懸念がない事も確認でき、船舶用バイオ混合燃料の実用化に向け大きく前進した。
なお、試験運航における各社の役割は、出光興産がFAMEとA重油を混合したバイオ混合燃料の品質管理支援。出光エナジーソリューションズが運航試験対象船である神威丸（船主：英雄化学）の運航。白老油脂が道内のセイコーマートなどから使用済み食用油の回収、FAME製造および供給。ナラサキ石油が配給船によるバイオ混合燃料の洋上給油（バンカリング）。阪神内燃機工業が神威丸の主機エンジン評価を行った。
