東京都は1月28日、荷主や物流事業者を主な対象とする「物流効率化セミナー」を都内で開いた。
都は2024年度、「物流の2024年問題」に官民挙げて取り組もうと、再配達削減の啓発などを行うキャンペーン「東京物流ビズ」を展開しており、セミナーは、国や都の施策、民間の好事例などを紹介するもの。
冒頭、小池百合子知事はビデオメッセージで挨拶。「物流は重要なインフラ。物流業界では担い手不足に加えて時間外労働の上限規制が適用され、輸送力の不足が懸念されている。効率化は待ったなしだ」と語った。
荷主に対して「一括発注で発送の頻度を減らし、ゆとりある納期を設定するなど、一層の効率化を目指してほしい」、消費者に向けては「注文方法や受け取り方を工夫し、配達の回数や再配達を減らそう」とも呼び掛けた。
東京都の取り組みについて、岡本健一 都市整備局都市基盤部 物流調査担当課長は、再配達削減の啓発事業として置き配バッグを配布したり、物流事業者が荷さばきに使える貨物車駐車スペース提供事業として都内18か所にスペースを設けたり、物流効率化に取り組んできたことを紹介。運輸業の中小企業に対し、デジタルツール導入促進緊急支援事業などの助成も行っている。
岡本課長は「引き続き荷主・物流事業者や都民に行動変容を促す啓発をしていきたい」と語った。
セミナーでは、4月に改正物効法が一部施行されるのを控え、国土交通省による物流改革に向けた説明もあった。
国交省の相川高広 物流・自動車局 物流政策課課長補佐は、国交省・経産省・農水省の合同会議による取りまとめをポイントに挙げ、「すべての発着荷主、連鎖化事業者(フランチャイズチェーンの本部)、物流事業者(トラック、鉄道、港湾運送、航空運送、倉庫)に対し、物流効率化のために取り組むべき措置の努力義務が課される」とした。
具体的には、「配送の共同化など積載効率の向上、トラック予約受付システムの導入など荷待ち時間の短縮、パレット利用や検品の効率化など荷役時間の短縮に取り組んでほしい」とし、「特に荷待ち時間の短縮には荷主の協力が必要」と呼び掛けた。
相川課長補佐は「何も対策を講じなければ2024年度には14%、2030年度には34%の輸送力が不足する可能性があり、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容が求められる」と改めて強調した。
このほかセミナーでは、都内の荷主が競合他社との共同輸送で配送コストを抑えた事例や、配送の平準化でアウトソーシングを実現し配送コストを抑えた事例、また運送事業者がITシステムを導入し運行管理者業務を軽減した事例があることなども紹介された。