日本郵船は4月22日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙戦略基金事業「将来輸送に向けた地上系基盤技術」A)再使用機体の回収系に係る地上系基盤技術開発(本事業)に採択され、4月17日にJAXAと事業のキックオフミーティングを実施、研究開発を開始したと発表した。
<盾(JAXA)の贈呈右から本事業Program Officer 神武 直彦教授 (慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科)、日本郵船の山本 泰 執行役員>
主にロケット本体の研究開発を担う三菱重工業と連携しながら、再使用型ロケットの洋上回収船の研究開発、事業化を進める。JAXAの宇宙戦略基金に採択されるのは、海運会社としては初となる。
中期経営計画で宇宙関連事業を新規事業として定め、先端事業・宇宙事業開発チームを設け、洋上でのロケット打ち上げと再使用型ロケットの回収など船舶を利用した宇宙事業、衛星データの利活用、宇宙産業のサプライチェーンの高度化(ロケット・衛星の部品調達から打ち上げ、衛星の軌道投入までのサプライチェーン全体の最適化、高度化)、の領域で事業開発を進めている。
JAXAの宇宙戦略基金事業として採択されたのは「将来輸送に向けた地上系基盤技術」における「再使用機体の回収系に係る地上系基盤技術開発」。再使用可能なロケットを洋上で安全に捕獲、回収し、運搬することを可能とする洋上回収船の基盤技術の開発に取り組み、検証試験を進める。
具体的には、機体捕獲技術(洋上での定点保持技術を活用し、再使用型ロケットを短時間で捕獲する技術)、安全化技術(捕獲した再使用型ロケットを固定し、残留推進薬を安全に排出する技術)、着陸用甲板開発(再使用型ロケット着陸時の噴流と衝撃に耐える甲板構造および仕様)、遠隔運用技術(機体捕獲から安全化処置までの間、洋上回収船を遠隔で運用する技術)、ガイドライン整備(洋上回収船の運用計画、保守計画、設備要件を基にしたガイドラインの整備)に取り組む。
洋上回収船の試作船の製作、地上と洋上での実証試験の実施や、洋上回収船に関する概念設計承認(Approval in Principle、「AiP」)の取得も目指す。
物流最前線/日本郵便の五味執行役員に聞く2024年問題、協業を進める狙いとは