日本郵船は5月13日、着岸中の船舶の動揺を低減するための新係留システム「DynaMoor」の実際の船舶での試験運用(トライアル)を開始したと発表した。
この取り組みは、JERA、スウェーデンの工業メーカーであるTrelleborg AB(トレルボルグ社)傘下の海洋港湾資材メーカーTrelleborg Marine & Infrastructure(トレルボルグ・マリン アンド インフラ社、以下「TMI社」)と共同でJERA常陸那珂火力発電所(茨城県)の揚炭バース(本バース)に設置して行われたもの。
トライアルでは、本バースに「DynaMoor」を2基設置し、1年間の検証を行う。着岸した船舶に動揺量計測機を取り付け、「DynaMoor」使用時の船体の動揺を計測し、係留された船舶の動揺低減効果と、港湾作業の安全性・荷役効率の向上効果を検証する。
「DynaMoor」はTMI社が開発したもので、係留索(ロープ)にかかる張力を自動で調整し、船体の動揺を低減する係留システム。船体の動揺量に応じて電子制御の油圧ダンパにより、係留策の先端が繋がれたクイックリリースフックがレール上を前後に移動することで係留索の張力を調整する。
「DynaMoor」導入の背景には、外洋に面した港は、海面のうねりや長周期波(波周期が30〜300秒程度の波)の影響を受けやすく、船体の動揺による荷役の中断や船舶の港外退避の発生による荷役効率悪化が長年の課題だった。このような状況下では、船側で係留索の張力を調節して動揺の制御が困難なため、港側で船体の動揺を抑えるための設備導入が必要になる。そのため、「DynaMoor」の導入を検討することになったもの。