帝国データバンク(TDB)は8月21日、2024年の主要上場建設会社58社の受注・業績動向調査を発表した。
主要上場建設会社58社の2024年度(2023年4月~2024年3月)での売上高合計(連結ベース)は、前年度比6.9%増の21兆3547億円だった。
増収企業数は41社(構成比70.7%)、減収企業数は17社(29.3%)。
売上高の増加率では、「日本基礎技術」が前年度比28.4%増でトップ、次いで「佐田建設」の23.7%増、「大成建設」の22.1%増の順となった。減少率では、「大本組」の前年度比15.6%減が最も大きく、次いで、「大豊建設」の12.1%減、「日本国土開発」の12.0%減で続いた。
政府による防災・減災、国土強靭化対策等にけん引された公共投資が底堅く、企業の旺盛な設備投資意欲に伴う民間投資の持ち直しにより民間からの受注が8.3%増と旺盛であったことや、物価高騰を反映した請負金額の上昇などにより、7割の企業が増収となった。
主要上場建設会社58社のうち、単体の受注高が判明した46社の2024年度の受注高合計は、前年度比4.4%増の15兆8003億6400万円。46社のうち、30社(構成比65.2%)で受注高が増加、16社(34.8%)で減少した。
受注動向で注目される点として、首都圏の再開発や物流施設、データセンター、半導体関連工場など民間の活発な大型設備投資が受注高増加の要因になったとみられている。
増加率では、官公庁工事・民間工事とも受注を大きく伸ばした「植木組」が前年度比66.7%増でトップ。次いで「東急建設」が36.9%増、「錢高組」が34.7%増の順となった。減少率では、官・民工事とも低下した「清水建設」の前年度比24.2%減が最大。次いで「佐藤渡辺」の23.8%減、「ヤマウラ」の20.6%減で続き、30%以上落ち込んだ企業はなかった。
46社中30社とほぼ3分の2の企業が増加し、減少した企業についても減少幅は以前より小さくなった。また、工事受注高の内訳(官・民)が判明した29社をみると、官公庁受注は微増ながら、民間受注は前年度比8.3%増となり、首都圏の再開発や物流施設、データセンターなどの設備投資がけん引する形となった。
今後は、官公庁では防災・減災、国土強靭化対策事業などの発注増加が見込まれ、民間ではデジタル化の加速を背景としたデータセンターや都市部の大型再開発が継続しているほか、首都圏の鉄道工事や再生可能エネルギー、脱炭素関連ビジネスの市場拡大により建設需要は当面底堅く推移すると予想される。
しかし、施工管理技士のみならず現場作業員も不足しているため、案件があっても施工する業者がいない状況が発生しており、工期の長期化などによる建設コストの上昇が懸念される、としている。
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