NIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)は10月31日、東京都千代田区の大手町プレイスで「NXサステナブル・ソリューションフォーラム『未来を運ぶ―お客様と共にScope3削減へ』」を開催。企業のサステナビリティ担当者を中心とした約140人が来場し、サプライチェーン全体のCO2排出削減に向けて、最新動向や具体的なソリューションに関する事例紹介が行われた。
NXグループは、2030年までに2013年比でグループ全体のCO2自社排出量(GHGプロトコルのScope1・2)の50%削減を目指しており、2023年5月にはScience Based Targets initiative(SBTi)の認定取得に向けコミットメントレターを提出した。
SBTiは、WWFや国連グローバル・コンパクトなどによる共同枠組みで、企業に対して科学的知見と整合した目標であるScience-based target(SBT)を設定することを支援し、適合していると認められる企業に対してSBT認定を与えている。
2025年6月にはNXグループとしてSBT短期目標の認定を取得し、国際基準に整合した排出削減の取り組みを加速している。
また、自社事業でのCO2排出削減に努めるとともに、顧客のCO2排出削減に貢献する商品・サービスの創出に注力しており、フォーラムはこうした取り組みを顧客と共有し、共創することを通じてScope3(事業者の活動に関する他社の温室効果ガス排出)削減を前進させることを目的に開催した。
基調講演では、みずほリサーチ&テクノロジーズ・サステナビリティコンサルティング第2部の柴田 昌彦 プリンシパルが「Scope3 削減の重要性とSBT認定~サプライチェーンで取り組む脱炭素経営~」と題し講演。「Scope3」削減はグローバルなサプライチェーンで不可避のテーマであり、取引先との連携が競争力維持の鍵であることを強調した。
企業担当者による講演では、NXHDの岸田 博子 執行役員サステナビリティ推進部担当、アスエネの西和田 浩平 Founder代表取締役CEO、日本通運の秋山 清治 ネットワーク商品企画部長が、情報開示のあり方や、サプライチェーンでの温室効果ガス排出量見える化の事例などを紹介した。
パネルディスカッションでは、商船三井の引間 透 執行役員チーフ・サステナビリティ・オフィサー、成田国際空港の田代 敏雄 執行役員サステナビリティ推進室長、タイガー魔法瓶の南村 紀史 商品企画第2チームマネージャー、大成建設サステナビリティ経営推進本部カーボンニュートラル推進部の竹尾 健一 環境技術室長が登壇し、海運・航空・製造・建設各分野の先進事例をもとに、持続可能な物流実現に向けた実装手段、サプライチェーン連携、データ活用、燃料・輸送モード転換の可能性を検討した。
フォーラムの参加者からは、「Scope3の算出、削減の重要性とSBT認定の価値がよく理解できた」(電機メーカー)、「バックデータに基づく環境負荷分析が重要であることやSBTなど欧州での動きを知ることができた」(物流会社)、「Scope3排出量開示にあたって、一次データの割合が重要であること、そのためには企業間の協働が必要であることをあらためて理解した」(レンタル会社)などの意見が寄せられた。


