NXホールディングスのグループ会社である日本通運と大成建設は6月6日、協働で進めている「建設副産物巡回回収システム」(以下「本システム」)の活動が、「第52回環境賞」(国立環境研究所・日刊工業新聞社共催、環境省後援)、優秀賞を受賞したと発表した。
<左から1番目が大成建設の谷山二朗 CSuO 副社長執行役員、左から2番目が日本通運 杉山千尋 副社長執行役員>
受賞テーマは、「巡回回収システム」の構築による建材サーキュラーエコノミーの実現。
取り組みの概要は、従来、建設現場から排出される建材端材は、多種多様で混合廃棄物になりやすく、分別やリサイクルが困難だった。また、個々の現場から再資源化施設へ運搬する場合、運搬コストが高く、CO2排出量も増加するという課題があった。
これまで埋め立て処分をしていた建材端材の一部を、広域認定制度を活用して建材原料としての再資源化を推進するため、大成建設と日本通運は、複数現場を同一車両で巡回回収し品目ごとの再資源化施設にまとめて二次輸送できる「巡回回収システム」を開発した。
回収時に「NRBOX」という観音開きタイプのかご台車を使用し、積み込み時に中身が一目で分かるようにしたことで、品目ごとの分別を確実にし、建設現場での管理・回収が容易になる。
「NRBOX」は、そのままトラックに積み込めるため、異なる品目の建材端材を一つの車両にまとめて運搬可能となり、積載率が向上する。また、建材端材の受け入れ工場への配送には製品納品車の帰り便を利用することで、更に輸送効率の向上が可能となった。
受賞は、大成建設が2014年から取り組んできた不燃系建材端材の再資源化を2023年から日本通運との協業によりさらに発展させ、再資源化量の拡大や安定運用体制を確立し、建設業全体への普及を進めた点が評価されたもの。また、運搬効率の向上によって、運搬コストと CO2排出量を大幅に削減した点も高く評価された。
取り組みはこれまで「第33回地球環境大賞 日本経済団体連合会会賞」、「令和6年度リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰 内閣総理大臣賞」を受賞しており、今回で3度目の表彰となる。
今後は、回収エリアの拡大、対応品目や建材メーカーの追加、モーダルシフトによる遠距離運搬など、更なるシステムの充実を図ることで、建設業界と物流業界における環境負荷を低減し、省資源・循環型社会の構築に積極的に取り組んでいくとしている。
商船三井・カナデビア・大成建設/浮体式洋上風力発電商用化へ協業