LNEWSは、物流・ロジスティクス・SCM分野の最新ニュースを発信しています。





アマゾン/Amazon西日本最大の拠点、名古屋市に物流拠点を新設

2025年07月01日/物流施設

Amazonと三菱地所は7月1日、愛知県名古屋市にAmazonの物流拠点(フルフィルメントセンター:FC)を今夏新設すると発表した。

<三菱地所の施設「ロジクロス名古屋みなと」を Amazon 専用に設計>
20250701amazon21 - アマゾン/Amazon西日本最大の拠点、名古屋市に物流拠点を新設

拠点は、三菱地所の施設「ロジクロス名古屋みなと」を Amazon 専用に設計し、延床面積は約12万5000m2、商品保管容量は約137万立方フィートで、西日本で最大のFCとなる。今年8月の稼働開始を予定している。

Amazon と三菱地所が協働し、地中熱空調システムや壁面設置の太陽光発電設備など、より持続可能な施設運営のための技術を導入する。これにより、施設の運営に係る温室効果ガスの排出およびエンボディドカーボン(建築物の資材調達から輸送・建築・修繕・廃棄等、建築物の運用以外で発生する二酸化炭素)削減を見込む。

また、日本の建物として初めて、国際的な認証である International Living Future Institute(Living Future)のゼロカーボン認証取得を見込んでいる。その他、両社の協業により、職場環境や地域社会に配慮した設計となっている。

特徴的なのは、カーボンフリーエネルギーの最大活用だ。地中熱ヒートポンプを利用した空調システムを導入。国内の地中熱利用では最大規模となる200本の地中熱交換器を実装し、地下100mより安定した熱エネルギーを取り出す。これを1階部分の冷房および暖房に利用することで、低エネルギーで室温を快適に保つ。システムの導入により、従来の空調と比べて約 30%のエネルギー消費量削減が見込まれる。これは Amazon全体の物流拠点においても先進的な取り組みだ。

さらに使用される電力の一部を賄うため、建屋および駐車・駐輪場の屋根部分に太陽光発電設備を設置するとともに、Amazon として世界で初めて建屋の壁面(南側)にも太陽光発電設備を導入する。合計の発電設備容量は、オンサイト型の太陽光発電としては国内最大級の 5.5 メガワット(MW)となる。これは Amazon のオンサイト型の太陽光発電としては、米国外で最大の発電設備容量となる。また、蓄電容量2.9メガワット時(MWh)の蓄電池も併設し、雨天・曇天時や夜間でもカーボンフリーエネルギーを活用できる。

<建屋の屋根および壁面に設置された太陽光発電設備のイメージ>
20250701amazon22 - アマゾン/Amazon西日本最大の拠点、名古屋市に物流拠点を新設

<FC の下で稼働する地中熱交換システム(一部)>
20250701amazon23 - アマゾン/Amazon西日本最大の拠点、名古屋市に物流拠点を新設

低炭素型コンクリートの採用や雨水利用による水使用量削減の取り組みも要注目だ。資材の調達から廃棄およびリサイクルに至るまで、ライフサイクルで約30%の温室効果ガス削減を見込むコンクリート素材を建物基礎およびオフィス部分に採用している。拠点では雨水の利用も積極的に進めており、貯留槽に貯めた雨水をお手洗いなどで利用することで、同規模の従来のFCと比べて上水道の使用量を約40%削減する見込みだ。

そして、働く機会の創出と安全な職場環境の提供を図るとしている。職場の安全・衛生管理者、商品の品質管理者、設備の保全管理者、テクノロジーを使って商品のピッキング・梱包・出荷作業などを担うポジションなど、さまざまな職種で数千の働く機会を創出。物流施設などでの職務経験のない人を含め、あらゆる経歴の人々が活躍できる場を用意しており、定期的なトレーニングやスキルアップ機会の提供を通して、働く人々が学び、成長し続けられる環境を整えている。

建物自体、自然光を多く取り入れた設計になっている他、カフェテリア、マザーズルーム(搾乳室)やプレイヤーズルーム(礼拝室)、バリアフリー対応のお手洗いを備えるなど、働く人々の心身の健康、そして包括性に配慮した作りになっている。また、従来のFCと同様、ロボットが商品棚を持ち上げて移動する「Amazon Robotics」や、紙袋の自動梱包機等のテクノロジーも導入し、業務を効率化することで、働く人々の業務をサポートする。

その他、地域社会に向けた取り組みとして、この拠点は名古屋市より津波避難ビル(津波に対する指定緊急避難場所)の指定を受けており、津波発生の恐れがある場合には、地域住民の人々に一時的に避難してもらうことを想定している。また、敷地北側の一部を最寄り駅である荒子川公園駅からの歩行者用通路として一般開放する等、地域住民の方に配慮した計画としている。

<三菱地所 岩田聡 執行役常務>
20250701amazon06 710x470 - アマゾン/Amazon西日本最大の拠点、名古屋市に物流拠点を新設

都内で行われたメディア向け説明会にて、三菱地所の岩田 聡 執行役常務は、今回のFC開設について「より持続可能な物流の実現に向け、Amazonとこのような施設を実現できたことを大変うれしく思う」と述べた。

<アマゾンジャパン 島谷 恒平 ジャパンオペレーション代表>
20250701amazon05 710x465 - アマゾン/Amazon西日本最大の拠点、名古屋市に物流拠点を新設

また、島谷 恒平 ジャパンオペレーション代表は「三菱地所との協業によって実現したFCは、サステナビリティの取り組みの中で大きなマイルストーンであり、象徴的な事例となると考えている。アマゾンが目指すゴールに向けて、世界規模でイノベーションを進めていくとともに、パートナー企業や政府関係者、ステークホルダーと連携しながら脱炭素化に向けて取り組んでいきたい」と今後の展開への意見を語った。

<広域図と狭域図>
20250701amazon32 - アマゾン/Amazon西日本最大の拠点、名古屋市に物流拠点を新設

■物件概要
物件名称:ロジクロス名古屋みなと
所在地:愛知県名古屋市港区品川町二丁目 1 番 2・3・4・6、61 番 1・2、62 番 3・4
アクセス:(自動車)名古屋高速 4 号東海線「港明 IC」より約 3.5km
(電 車)名古屋臨海高速鉄道あおなみ線「荒子川公園」駅より約 0.3km(徒歩約
3 分)
敷地面積:約6万2100m2(約1万8700坪)
延床面積:約12万5200m2(約 3万7800坪)
構造:地上4階建、BOX型、柱 RC・梁 S造、耐震構造
用途:BTS型物流施設
建築主:名古屋みなとデベロップメント特定目的会社(三菱地所の特定子会社)
コンストラクションマネジメント:三菱地所設計
設計:フクダアンドパートナーズ/フジタ
施工:フジタ
着工:2023年4月20日
竣工:2024年10月31日
倉庫稼働開始:2025年8月(予定)

アマゾン/千葉みなとFCをツアーに先駆け公開、人を楽にする自動化

LNEWSは物流に関するB2B専門のニュースを
平日毎朝メール配信しています。

メルマガ無料登録はこちら

関連記事

物流施設に関する最新ニュース

最新ニュース

アクセスランキング