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日通総研ロジスティクスレポート/運送事業者の経営状況に警鐘

2006年12月22日/調査・統計

日通総研は、最近の燃料価格の動向、トラック業界の動き、運送事業者の経営状況などをまとめ、「ロジスティクスレポート№6」として、12月18日に公表した。レポートでは、軽油・ガソリン価格の上昇を受けて、全日本トラック協会が、経済産業省、国土交通省、日本経済団体連合会、荷主団体に燃料価格の引き下げや運賃面での配慮などの陳情活動を展開したこと、などを紹介。トラック運送事業者が燃料サーチャージの導入などの取組みを進める一方、事業者の経営安定に向けた多面的な支援策が求められる、などと指摘している。

燃料価格の動向については、2004年以降続いている原油価格の高騰に触れ、2004年4月に1リットル85円だった軽油が、2006年9月には121円まで高騰、足下の11月は115円まで戻しているものの、依然として高止まりの状況にある、などとまとめた。

こうした燃料価格の高騰を受け、全ト協は燃料価格の上昇が顕著となった2005年4月から、軽油価格高騰に伴う「緊急アクションプラン」を策定し、経産省、国交省、日本経団連、石油連盟、全国石油商業組合連合会、荷主団体などに陳情活動を展開。石油業界に対しては、軽油価格の引き下げを求め、荷主団体には業界の窮状を訴えた。経産省には適正な軽油価格への行政指導を要望し、国交省には荷主業界への行政指導を要請。これに対し国交相は、2005年9月にトラック運送業界が環境面や安全の確保に適切に対応していくには荷主の理解が不可欠であるとして、経団連に対し、トラック運送事業者の運賃転嫁に理解と協力を求めた。また、テレビ、ラジオ、新聞などの一般メディアを通じて軽油高騰の影響、実情などを訴え、業界の窮状をアピールし、やや改善してきたものの、荷主の理解はまだ十分得られた状況ではない――などと、現状を分析した。

また、運送事業者の経営状況について、全ト協が発行している「経営分析報告書」(平成16年度決算版)を引用した分析も掲載。1社平均の営業損益は61万円で、営業利益率は0.3%であり、全産業平均の営業利益率3.9%に比べて「極めて低くなっている」としたほか、ガソリン、軽油などの燃料油脂費は2,743万円と営業費用の12.2%を占め、保有車両20台以下の事業者は、営業損益がマイナス104万円~マイナス131万円と、小規模事業者の経営状況が非常に厳しいなどと指摘している。

このほか、燃料価格の運賃への転嫁状況についても、全ト協の調査を踏まえ、「まったく転嫁できない」と回答した運送事業者が依然として59.9%を占めており「まだ十分に進んだとは言えない」などとする見方を示すとともに、「燃料サーチャージ導入の動きも現れている」として、こうした動きを加速させる必要がある、との見方を示した。

同レポートは、まとめとして足もとで軽油、ガソリン価格は落ち着きを取り戻しつつあるものの、依然として価格は高水準にある、としたうえで「問題は長期化する様相を呈しており、このまま推移すればトラック運送事業は危機的な状況に陥ることになる」と警鐘を鳴らしている。

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