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全日本トラック協会/トラック業界の窮状を説明

2010年03月29日/3PL・物流企業

全日本トラック協会の石井健児理事長は3月29日、トラック運送事業の事業環境などを説明した。

2008年度の国内貨物輸送量5576億トンキロ中、トラック運送事業の輸送量はその54%に当たる3028億トンキロだった。また、2006年度の物流市場規模は24.7兆円で、トラック運送事業の売上高は14.3兆円(57.9%)となっている。

一方、2008年度のトラック業界の事業者数は6万2892社で、1990年から2万2820社が増加し、輸送量は3020億9000万トンキロ、車両数は111万918台となった。一見順調に参入が進んでいるように見えるが、石井理事長は従業員の規模で見た場合、99.9%が資本金3億円以下か、従業員数が300人以下と中小企業が圧倒的に多く、業界体質は脆弱と指摘した。車両保有数でも、56.5%の企業が保有台数が10両以下となっている。

また、トラック業界の2008年度の納税額は7446億円となり、そのうち軽油引取税が5471億円と大部分を占めている。2008年度には軽油価格がl当たり122.6円となっており、これに伴う業界全体でのコストの純増分は1兆10億円に上昇した。

また、1989年~2008年の期間に物価指数は1から1.11と大して変動していないが、大型トラックの価格は約2倍になっており、環境規制強化に伴う新型車両の導入も事業者にとって大きな負担となっていると指摘した。

売上高に占める物流コストでは、製造業の場合1997年には7.0%だったが、2008年度は4.7%に下落している。物流コストの内訳は輸送費が59.1%、保管費が16.2%、その他が24.6%となっている。

さらに、各社の1992年度~2008年度の営業利益率は2.2%からマイナス1.3%に下落し、経常利益率も1.7%からマイナス0.8%に落ち込んでいる。その反面、2008年のトラック運送事業の時間当たり賃金は1597円、月間労働時間は183.4時間。この状況を石井理事長は「個人的には産業としての未来が不安だと感じている」と述べた。

このような事業環境下でも、環境負荷削減の努力は業界全体で続けており、2008年度の運輸部門CO2排出量は8500万トン・CO2と1990年度費で10.2%減を達成した。石井理事長は「我々の言う効率化とは、同じ燃料でどれだけ効率的に走れるかという意味。軽油に比べ、天然ガスはまだスタンドが少ないが、単価も割安で環境負荷が最も低い。個人的には石油(軽油)にいつまでも依存すべきではないのではないか」と述べ、天然ガス車両向けのインフラ整備などが今後必要だとした。

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