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運輸安全委員会/北海道江差線事故で報告書、原因は積荷の偏積

2015年12月17日/SCM・経営

国土交通省の運輸安全委員会は12月17日、日本貨物鉄道(JR貨物)の2012年4月26日の北海道江差線八雲駅構内で発生した列車事故の調査報告書を発表した。

<江差線路線図>
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<事故現場付近の地形図>
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事故の原因として、貨車にコンテナを積載した状態において、左右の車輪間で大きな静止輸重アンバランスが生じていたため、半径300mの曲線を走行中に、静止輸重アンバランスが生じていない車両と比較して、外軌側車輪の輸重が小さくなり、かつ内軌側の輸重が大きくなった影響により、外軌側車輪の横圧が増加したことにより、外軌側車輪の脱線係数が増大して外軌側車輪がレールに乗りあがり、脱線したものと考えられるとしている。

脱線した貨車に大きな静止輸重アンバランスが生じていたことについては、コンテナ内の積荷の偏積によるものと推定される。

なお、貨物列車が運行する区間において管理することとされている複合変位が、整備すべき対象には該当していなかったが、車輪のレール乗り上がり開始箇所の手前で比較的大きくなっていたことは、外軌側車輪の輪重減少を助長させた可能性があると考えられると結論づけている。

再発防止策として、貨車に積載されるコンテナ内の積荷の左右偏積により、車両に大きな静止輸重アンバランスが大きく影響したと考えられることから、コンテナ内の積荷に左右偏積が生じないようにする必要がある。

貨物輸送約款で、コンテナへの貨物の積載並びにコンテナの施封と開封は、貨物利用運送事業者により、行うこととされており、JR貨物はコンテナ内の積載状態を直接確認できないことから、JR貨物は貨物利用運送事業者に対して、コンテナへの積荷(貨物)を積載する際に、偏積の防止及び積荷の積載状態の確認など、貨物運送約款の内容を周知徹底する必要がある。

JR貨物は、貨物利用運送事業者と連携して、コンテナを貨車に積載する際に、必要に応じて、荷主の承諾を得た上で、コンテナを開扉して、積荷の積載状態を確認するなどの対策をすることが望ましい。

そして、コンテナ積載状態で輸重アンバランスを簡易に検知できるシステムの導入について、検討することが望まれるとしている。

事故の概要は2012年4月26日、JR貨物の広島貨物ターミナル駅発札幌貨物ターミナル駅行き20両編成の高速貨第3061列車が、青森信号場を定刻(3時52分)に出発し、五稜郭駅に6時13分に到着。

五稜郭駅で列車の到着を待っていた輸送係は、到着した列車の18両目の貨車から発煙しているのを認め、駆け付けた駅務社員により、台車周辺から発煙していた貨車の消火作業を行った。

一方、同日の5時59分に、江差線の釜谷駅構内で分岐器の転換不良が発生したため、北海道旅客鉄道の保線社員が同駅構内を確認したところ、周辺のまくらぎに脱線の痕跡があり、分岐器も破損していた。

五稜郭駅で発煙していた貨車は脱線した状たいではなかったが、車両を点検した結果、車輪等の状況から同貨車がいったん脱線したものと判断された。

この経過に対して、運輸安全委員会は、車両の運転士、輸送係、駅務社員から口述で聞き取りを行い、鉄道施設と車両等に関する情報、さらにはコンテナ内の積荷の積載状況など貨車状況を詳細に調査・把握した。

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