楽天グループの研究開発機関である楽天技術研究所(RIT)と、無人船舶運航ソリューションの主要プロバイダーであるマリタイム・ロボティクス社は3月13日、無人貨物船と関連技術の共同研究を実施すると発表した。
合意に基づき、RITはコンピュータビジョンと物体認識、意思決定AI、物流最適化に、マリタイム・ロボティクス社は制御・センサーシステム、通信・制御室システムに、それぞれ重点を置いて取り組む。
現在の物流網はトラックによる陸上輸送が中心。トラック輸送は、膨大な人手と、道路、トンネル、橋梁、ガソリンスタンドなど、トラック輸送のためのインフラへの大規模投資を必要とする。
トラック輸送は環境汚染と渋滞の原因にもなる。今回の共同研究では、こうした問題の解決策としてUSV(無人水上艇)の利用の可能性を探求する。
USVは、陸上輸送に比べて最高速度は劣るが、航行の自由と自律性によって継続的な運航が実現し、運航コストの削減と効率化が期待できる。
トラック輸送ほどのインフラ投資を必要とせず、現状の港湾やドック、その他の既存の海上インフラを利用しての運用が可能。操作においては、コンピュータビジョンと遠隔制御技術を活用することで、オペレーターは、より正確に状況を認識・把握できる。
さらにAIによる制御支援によって人間の関与を減らすことで、人的事故のリスクの低減と、オペレーターの仕事量の軽減も実現できる。また、船舶はトラックより稼動寿命が長いため、物流チェーンの効率性が向上する。