日新は6月20日、日欧間の新たな輸送ルートとして、ユーラシア大陸横断鉄道「中欧班列」を利用した「日中欧Sea&Rail一貫輸送サービス」の本格開始に向け、初出荷となる出発式を行った。
日新は中国物流最大手企業の日本法人であるシノトランスジャパンの協力により、「日中欧Sea&Rail一貫輸送サービス」を年内に商品化すると発表した。
初出荷は商品化のためのテスト輸送となるもので、顧客に100%の安全・安心を提供するためのデータ収集を行う。
ルートは横浜港から連運港まで海上輸送し、鉄道を利用してカザフスタンとの国境の町ホルゴスを経由し、ドイツ・ハンブルグまでの一貫輸送を行い、横浜からハンブルグまで27日間で輸送を完了する予定だ。
この一貫輸送サービスでは、中国鉄道総局の子会社にあたる中鉄コンテナ(China Railway Container Transport)(CRCT)社のコンテナを使用し、日本から欧州まで同一コンテナで輸送を行う。今回の初出荷は同社コンテナを日本で初めて利用した取り組みとなった。
今回は机や椅子等のオフィス用品を積み込んだコンテナ1本だけの輸送だが、サービススタート時には50~100本を目指しているという。また、正式サービス時の主な用途として、自動車部品(完成車輸送含む)や電子パーツ類など付加価値の高い貨物が想定されている。
なお、日欧のSea&Rail一貫輸送サービスでは、ウラジオストック経由のシベリア鉄道を利用するルートもあるが、今は不定期運行とのことで、実際にかかる日数も1か月以上かかるという。
シノトランスジャパンの蒋紅寿社長は「このサービスは海上輸送より早く、航空輸送よりコスト面で有利で、第3の輸送手段になる。顧客には選択肢が増えることになる。今後、横浜港だけでなく、東京港、名古屋港、神戸港など日本全国の港でも実施したい」と話した。
日新の筒井雅洋社長は「日本で集荷したコンテナをそのまま中国の港に送り、港から鉄道で一貫輸送することはこれまでできなかった。今回、中鉄コンテナ社のコンテナを使うことにより可能とした。また、中鉄コンテナ社との契約に基づき、SINOTRANSのコンテナを使用しても、中国国内の鉄道運賃の優遇レートを適用できることになった。年内をめどに、温度、湿度、揺れ等のデータを収集し、安全・安心なサービスとして展開する」と述べた。
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