米・自動認識機器メーカーであるZEBRA Technologies,Incの日本法人ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパンは9月20日、日本を除く世界16か国での「フルフィルメントに関する展望調査」の結果を発表した。
物流企業に対する調査では、10年以内に2時間以内の配送を提供するとした回答が39%あったほか、10年以内に当日配送を提供するとした回答も78%あり、消費者による迅速な配送ニーズに対応するための取り組みを多くの企業が検討していることが分かった。
小売業に対する調査では、91%が今後、実店舗にフルフィルメントセンターとしての機能を持たせるようになると回答。配送が小売業者のブランドの一部になっているとの回答は90%に達し、配送スピードをより重視していることが分かった。
製造・物流・小売業を含めた全体の調査結果からは、89%の企業が、Eコマースの台頭でより迅速な配達へのニーズが高まっていることへの懸念や投資が増加するだろうと回答した。
オムニチャネルに対応した物流については、運用している企業がわずか39%に留まり、業務運用の課題として取り寄せ注文の削減、在庫の割り当て、運送費などが挙がったほか、55%の企業が未だ紙とペンを用いた手作業による業務を行っていると回答し、オムニチャネルへの対応の難しさと業務の非効率性が浮き彫りになった。
また、業務の自動化によって業界に変化がもたらされているとの回答は61%に上っており、人手不足や働き方改革に伴う生産性向上への取り組みで先端技術へのニーズが高まっていることが伺えた。
また、配送のオプションについても多様化が進んでいく傾向にあり、10年後の2028年までに採用を検討する新しい配送オプションとしては、クラウドソーシングや半自動・自動運転車両、ドローン、ドロイドなどへの回答が多かった。
オムニチャネル化にあたって重要となる在庫精度については、製造・物流・小売の各業界がオムニチャネルを実施するにあたって現状を上回る精度が必要であるとした。
RFIDによる在庫管理については、採用する企業が現状で33%なのに対し、2028年には91%まで拡大する見通し。
ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパンの池田一樹代表は「迅速な配送や多様な購買モデルなどオムニチャネルを取り巻く消費者のニーズに対して、企業がテクノロジー活用、店舗のフルフィルメントセンター化、業者間の連携など、対策を進行・検討していることが明らかになった。日本では、Eコマースの台頭で物流量が急速に増加している一方、少子高齢化により限られたリソースで供給を成り立たせることが課題。RFIDをはじめとするテクノロジーで現場の生産性向上と見える化を支援し、日本企業の競争力と従業員の労働生産性向上に貢献したい」とコメントした。
また、国内での展開については「物流やEコマース関連に大きく力を入れていく。プリンターやモバイル端末などの自社製品を生かすには、優れたプラットフォームやソリューションが必要。現在、イギリスや欧州などで採用されているソリューションを日本でも展開していきたい」と語った。
<(左)ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパンの池田一樹代表、(右)ゼブラ・テクノロジーズ・アジア・パシフィックのライアン・ゴー バイス・プレジデント兼ゼネラルマネジャー>
なお、調査は、オンラインショッピングの普及に伴い、当日・即時配送のニーズが高まっていることを受けて実施したもの。オムニチャネルへの対応の実態、スピード配送や再配達への課題意識、オムニチャネルに対応した店舗改革の方向性などフルフィルメントを取り巻く課題や今後の展望を分析することを目的に、米国やブラジル、イギリス、中国、オーストラリアなど世界16か国の製造・物流・小売業の2700人を対象として2017年に実施された。