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タカラスタンダード/トラックの待機時間を1時間削減、選ばれる荷主へ

2019年05月30日/SCM・経営

住宅設備機器メーカー・タカラスタンダードは5月30日、顧客満足度の向上の一環としてCS (カスタマーサービス)物流を目指すべき姿に掲げ、顧客・配送事業者、タカラスタンダードそれぞれにとってメリットがある物流体制の構築を図っていると発表した。

<入庫時の検品に使用しているASNシステム>

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中でも、ドライバー不足等で厳しい物流環境の中、安定的な商品供給を維持し、顧客の希望通りの日程や品質で施工ができるよう、物流関連業務の見直しと改善に取り組んでおり、車両拘束時間を3年で1時間縮めるなどの成果を上げている。

物流業界における配送用トラックの待機時間は、荷主の入出庫作業によって左右されるためドライバー側でコントロールできず、業界全体で問題視されてきた。しかし、この待ち時間を短縮することで、トラックドライ バーの長時間労働の解消が実現し、安定的なドライバーの確保に繋げることができる。

さらに、それによって 運送事業者に選ばれる荷主になるだけでなく、顧客の希望に沿う配送体制が実現する。タカラスタンダードでは、18か所ある工場で生産された商品や仕入れ品などを全国5か所の物流センターに集めている。最終的には施工現場で組付けるため、例えばシステムキッチンを出荷する際は、ワークトップ、キャビネット、吊戸棚、レンジフード、加熱機器、水栓金具といった商品を物流センターに集め、施工現場ごとにピックアップした上で配送車両に積み込み配送している。

そのため、待機時間が長くなることが多く、2015年度の平均待機時間は4時間弱だった。そこで、待機時間短縮に向けた取組みを開始したもの。

それまでは入庫時に紙の納品書で行っていた照合作業を、ASN(事前出荷通知:Advanced Shipping Notice )データを利用し、ハンディターミナルを使った作業に変えることで、入庫作業の時間を短縮した。

また、これまではトラックが到着してから行っていたピッキング作業を、倉庫管理システムの刷新によって、到着時間に合わせて作業を完了させておくことができるようになり、出荷作業の削減にも成功している。

結果、2018年度の車両の平均待機時間は2時間40分と、3年で1時間短縮した。

<流通過程と荷扱い作業>

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<タカラスタンダード配送事業者認定証>

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タカラスタンダードでは、2018年11月から、全国の運送会社向けに、DVDを用いた荷扱いに関する講習を実施。物流を統括するロジスティクス部の社員が全国に出向き、2019年3月現在で93回の講習を実施し、受講者数は776名に達した。

この講習により、新人、ベテラン関係なく安定した物流品質を保つことができるようになるだけでなく、受講者に認定証を配布し着用してもらうことでドライバーの意識の向上が図れるとともに、施工現場でドライバーと接する一般の顧客からの信頼度のアップを目指すことになった。

各工場で作られた製品を物流センターで保管し、その後積み替え基地を経由して施工現場に届けられる場合、荷扱いの作業は全部で14回。顧客のもとに質の高い商品を届けるため、ドライバーによる荷扱いは重要なファクターのひとつ。また、講習で実際に製品を取り扱っている運送業者の声を拾い、ダメージ品削減に向けた 梱包の改善にも生かしている。今後は、物流品質の向上に繋がる商品開発も行っていくとしている。

その他にも、パレットやスキットを活用した輸送やモーダルシフトの推進など、積極的な物流の改革に取り組んでいる。今後も、ドライバー不足等で物流環境は厳しい状況が続くが、運送事業者のコンプライアンス遵守によって選ばれる荷主になること、物流の高回転化を推進し、効率的な輸配送を実現することで、安定的な商品供給に努め、高い顧客満足度の維持に努めるとしている。

■タカラスタンダードの工場と物流施設
工場数:18か所
鹿島工場/千葉工場/埼玉工場/新潟工場/ トナミ 工場/岐阜工場/岐阜第二工場/北陸工場/三島工場/名古屋工場/滋賀工場/びわこ工場/大阪工場/和歌山工場/福岡工場/鞍手工場/ 日本フリット(関係会社/タカラ化工(関係会社)
物流センター数:5か所
東北物流センター/鹿島物流センター/関東物流センター/滋賀物流センター/福岡物流センター
倉庫数:9か所
北海道倉庫/新潟倉庫/埼玉倉庫/厚木倉庫/関倉庫/小牧倉庫/四国倉庫/山口倉庫/小倉倉庫

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