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プロロジス/モガダム会長来日、新たなアプローチ語る

2019年10月31日/物流施設

プロロジスは10月31日、米国プロロジスのハミード.R モガダム会長兼CEOを招き、日本法人の山田御酒社長と共に、プロロジスの現状と将来について発表した。

<山田社長とモガダム会長兼CEO>

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モガダム会長はプロロジスの概観を説明。1983年米国・サンフランシスコで設立以来約37年、2019年9月末日時点で、世界19か国で約7400万m2、3793物件の不動産を運営し、約5100社の企業に物流不動産を賃貸している。

ここまで発展してきた要因の一つを顧客(カスタマー)と業種分散によるリスク軽減としている。施設での荷物の分類では、食品に始まり、消費財、電化製品から衣類、自動車、ヘルスケアに至るまで、多種多彩でほぼ全ての商品を満遍なく扱っている。それでも上位25カスタマーが賃料全体に占める割合は19%に過ぎないという。

一方、今後の開発においては、「開発可能な土地の減少」「厳しい資金調達環境」「再調達価格の増加」「厳しい開発プロジェクトへの許認可」「需給バランスに関する情報と高い予見性」等を挙げている。

そのため、米国プロロジスでも都市型施設の開発をシアトルやニューヨーク、ロンドンなどに展開しているが、このうちのシアトルの物件には日本法人のプロロジスの社員が出向いて、開発に協力している。すでに、アマゾンやホームデポが入居していることから、これまで米国にはほとんどなかった高層階の物流施設が誕生したわけだ。モガダム会長は「戦略的に人口密集地では土地の価格が高く、高層階にする必要がある。ただ、カスタマーが何に重点を置くのか、その場所の戦略的な意味を十分に考えて開発しなければならない」と話す。

また、コミュニティ・ワークフォース・イニシアチブ(CWI)を通して、カスタマーが優秀な人材を雇用することをサポートしている。ロサンゼルスでは、高校生を対象にジョブスキルワークショップやトレーニングを提供。シカゴでは18歳から30歳を対象に、3週間の就業トレーニングを行っている。また、マイアミでは、最新鋭のラボを解説し、高校4年生を対象に実践的な学びの機会を提供している。

そして、新たなアプローチとして、「カスタマーとの共働」として優秀な人材を育てるための物流カリキュラムを開発。また、「スケールと知見を活用」として、カスタマーの国際的なパートナーシップや非営利組織との橋渡しにより、雇用やトレーニングのニーズをサポートし、人材に関する長期的なソリューションを提供する。

さらに、「未来の物流のため」、変化し続ける業界を見据えて人材を育成するとしている。足元の課題と未来を見据えた取り組みに挑戦するわけだ。

続いて、山田社長は日本の物流概要を説明した。日本では1999年に活動を開始。20周年を迎えた。当初は「黒船が来た」と揶揄されながらも、「米国で成功していたので、日本でも必ず成功すると信じていた」と話す。2019年10月末日までの間に全国で95物件、約641万m2の物流不動産を開発。免震構造の導入や、カフェテリアなどアメニティの充実にいち早く着手し、物流不動産開発のパイオニアとしての地位を確立した。

大型マルチテナント型物流施設の需給と空室率では、リーマンショック時に一時下がったが、それ以降は順調な進展を見せている。「現在では、竣工前に7~8割はテナントが決まっている状況」と山田社長。首都圏での空室率は2.7%と低いが、近畿圏では7.1%と若干高い。これについて、山田社長は「一部特定物件の空室率が高いだけで、全体的には良い傾向だ」と説明。

物流不動産マーケットの概況では、電子商取引(EC)が市場を牽引しているとしている。日本でのEC普及率が6.2%に対し、米国では9.6%。まだまだ伸びる要素があるということだ。

喫緊の課題としては、労働力不足だが、これについては、同日発表したワークシェアサービスを展開する「タイミ―」に出資し、カスタマーに提供する試みを始めた。タイミ―はおよそ90%という高いマッチング率で、即日人手を集めることができるマッチングアプリを提供しているスタートアップ企業だ。

また、同時に話題となっている倉庫の自動化・ロボット技術導入については、広い倉庫スペース、高機能なスペック、スペース拡張ニーズに応える柔軟性から、先進的物流施設が最適とのことから、積極的に進めていく予定だ。

このようなことから、プロロジスがカスタマーの課題解決を目指した取り組みとして「SOUCO」による短期・小スペースのシェアリング、「WILLPORT」によるラストワンマイルへのサポート、「TEGARAMILL」による雇用継続サポート、さらには、未発表ながら庫内オペレーションの見える化を図るサポート企業も登場する予定だ。

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