東邦ホールディングスは9月16日、東京都が指定する災害時広域輸送基地「京浜トラックターミナル」内に構築を進めてきた大規模高機能物流センター「TBCダイナベース」が9月3日より段階的に稼働を開始し、9月末までに全面稼働すると発表した。
東邦HDは、医薬品という生命に関連する製品を取り扱っているため、その物流機能では最先端技術を導入することで正確性(Accuracy)、ロット管理(Traceability)、継続性(BusinessContinuity Planning)等を追求してきた。
その高機能システムに基づき、自動倉庫内のロケーションをコンピューターで完全に管理することにより、「TBCダイナベース」は医薬品の保管場所を共有する医薬品卸の共同物流・配送センターとして国内で初めて東京都より許可を取得し、酒井薬品との共同物流を実現した。
さらに医薬品の国際的な適正流通基準である PIC/S GDP に完全に準拠した世界最高水準の物流センターとなっている。
TBCダイナベースの大きな特徴に、首都圏災害への対応として、東京都内唯一の医療用医薬品物流センターで、環状7号線の内側に位置することから、首都直下型地震が発生した場合に、災害時の医薬品配送拠点になりうる唯一の物流センターという。
また、基幹的広域防災拠点「有明の丘」の近郊に位置し、国・東京都・自衛隊等との連携により災害時における迅速かつ円滑な医薬品供給が可能だ。
さらに、大型の自家発電装置(5000kVA)を備え、有事の際にも72時間フル稼働可能。自家発電切り替え時に発生する瞬電に対しても、センター内の物流サーバー、設備制御、通信設備などに無停電装置
を装着することで対処している。
<世界最高水準の自動化技術を採用(バラピッキングロボット)>
自動化技術についてもロボットの可能性を徹底的に追求するため、MUJINの制御技術を初めて採用し、ロボットによるピースピッキング率として95%を目指す。また、「TBC埼玉」「TBC広島」で実現しているセブンナイン(99.99999%)以上の出荷精度を目指す。
高い出荷精度に基づき、納品時の検品を省略することで得意先の業務効率化に貢献する「NO検品システム」を基本とした配送体制を構築。得意先別、営業所別、担当者別に出庫することで、営業所での仕分け業務などが大幅に軽減される、としている。
PIC/S GDP、医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインに準拠した物流体制を確立。新型コロナウイルス感染症対策、セキュリティ強化では、センター玄関にAI温度検知ソリューション「SenseThunder」を設置し、入館者一人ひとりの体温とマスク着用をチェック。セキュリティカードによりセンター内通路から各室への入退室を管理。入室時はマスク着用と手指消毒を徹底している。
「TBCダイナベース」の稼働により、パンデミックや災害時にも医薬品を安定供給できる安心・安全の医薬品の流通体制の更なる強化を目指すとともに、今後の新薬の主流となるスペシャリティ医薬品・希少疾病用医薬品などに求められる高品質の物流機能に対応し、さらには最新鋭のロボットの積極的な導入による自動化の徹底、共同物流・共同配送の実現、物流の飛躍的な効率化など医薬品物流のイノベーションに挑戦していくとしている。
なお、東邦HDではこれまで都心では医療用医薬品を取り扱う「TBC 東京」と検査薬を取り扱う「WILL 平和島」の2つの物流センターが稼働していたが、今回の「TBC ダイナベース」の稼働に伴い「TBC 東京」の物流機能を「TBC ダイナベース」に移管する。
「TBC東京」については建物をリノベーション後、2021年5月までに「WILL平和島」を移設する。
これらの物流機能の再構築により、配送体制の更なる合理化を図り得意先の業務効率向上に貢献するとともに生産性の更なる向上を目指す。
■概要
名称:TBCダイナベース
所在地:東京都大田区平和島2-1-1
京浜トラックターミナル内「ダイナベース」2~5 階
TEL:03-6404-6150
延床面積:5万766m2
取扱品目数:約2万5000品目
取扱品目:医療用医薬品、医療機器、医療材料等
カバーエリア:東京、神奈川、千葉、長野、山梨、静岡、新潟、宮城、山形
設備投資金額:146億円
東邦HD/物流機器の開発・製造・販売のワコン社と資本業務提携