丸紅は1月12日、豪州・南オーストラリア州(南豪州)での安価な再エネ水素(グリーン水素)製造、水素吸蔵合金を使用したインドネシア共和国への輸送、および燃料電池を通じた水素の利活用に関する実証事業を開始すると発表した。
この実証事業は、環境省が公募した「2021年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(二国間クレジット制度資金支援事業)水素製造・利活用第三国連携事業」として採択されたもの。
豪州では、低炭素社会の実現に向け、再生可能電源由来の電力(再エネ電力)の導入が推進されているが、再エネ電力の拡大に伴い系統調整の必要性が増し、一部地域では利用されていない余剰再エネ電力が発生しており、今後対策が必要な状況。
このような状況を踏まえ、実証事業では、南豪州において余剰再エネ電力を活用し、エナジーマネージメントシステム(EMS)を通じて水電解装置とバッテリーを最適に稼働させることで、安価で安定的なグリーン水素製造および系統調整機能の提供を目指す。また南豪州で製造したグリーン水素は、水素吸蔵合金タンクを使用して二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism :JCM)のパートナー国であるインドネシアへ輸送し、ジャカルタ近郊の工業団地内にて燃料電池を通じた熱電供給を行い、インドネシア政府の掲げる国家中期開発計画の重点事項の一つである環境対策、脱炭素化に対する貢献も目指す。
この実証事業を通じて、将来的な水素事業に関するバリューチェーン構築、また二国間クレジット制度を通じた日本の温室効果ガス排出削減目標の達成への貢献を目指す。丸紅は、この実証事業以外に、豪州・ビクトリア州での水素サプライチェーン構築に関わる実証試験や、タスマニアでの再エネ由来アンモニアの製造・輸出の事業性検討・調査などに参画している。今後もこの実証事業をはじめ、地球環境の保全、脱炭素化に寄与する案件を構築・推進することで、温室効果ガス排出を抑制した持続可能な社会の実現を目指すとしている。
■実証事業の概要
案件名:南豪州における安価な再エネ水素製造および水素吸蔵合金を使用したインドネシア工業団地への輸送、燃料電池を通じた水素の利活用に関する実証事業
代表事業者:丸紅
実証概要:「南豪州における安価な再エネ水素製造」「水素吸蔵合金を使用した輸送」「インドネシア工業団地およびその他の国・地域における燃料電池等を通じた水素の利活用」